2005 Fiscal Year Annual Research Report
重質油の水素化脱硫時におけるアスファルテンミセルの挙動
Project/Area Number |
16560678
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高橋 武重 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20041543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 敬美 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (00177312)
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Keywords | 触媒化学プロセス / アスファルテン / マルテン / ミセルサイズ / 誘電損失測定 / 重質油脱硫率 |
Research Abstract |
平成16年度に引き続き、水素化処理された常圧蒸留残さ油(AR)に含まれるアスファルテンミセルの粘度および誘電損失測定によるアスファルテンミセル径の測定を行なった。同時に、重質油を液体のプロパンで処理した残さ油(PD)中に含まれるアスファルテンミセル径の測定を行なった。平成17年度は高温の測定を目指したが、誘電損失測定装置の電極を高圧下で取り付けるに至らず、測定温度が180℃までしかできなかった。しかし、電極に取り付けたコンデンサーの容量を変化することにより、直径が2mm程度のマルテンと20nm程度のアスファルテン径を区別して測定できるようになった。 水素化処理されたARのマルテン径は脱硫率によらず一定であったが、アスファルテン径は脱硫率とともに減少する傾向を示した。すなわち、水素化処理をされることにより、アスファルテンは確実に分解していた。その一方、反応性の大きなマルテンの径が変化しないのは、アスファルテンの一部が分解してマルテンになったためと考えられた。マルテンの直径は、測定温度とともに減少する傾向を示したが、アスファルテン径は温度によらず一定であった。これは、アスファルテン分子は比較的強い分子間相互作用で結合していて、180℃程度の温度ではこの相互作用を脱離できなかったことによると考えられた。 以上のように、今までほとんど想像の域をでなかったアスファルテンについて貴重なデータが得られた。これらの成果の一部は石油学会盛岡大会で発表し、重質油を取扱っている石油精製業の研究者・技術者から賞賛を受けた。
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