2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスエンベロープの標識による感染性動物ウイルスの網羅的検出のための基礎的検討
Project/Area Number |
16560680
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
後藤 猛 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (10215494)
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Keywords | バキュロウイルス / エンベロープウイルス / 放射能標識 / ホスファチジルエタノールアミンN-メチルトランスフェラーゼ / 昆虫細胞 / ウイルス検出 |
Research Abstract |
昨年度、エンベロープウイルスとホスト細胞のモデル系としてバキュロウイルスおよびSf-9昆虫細胞を用い、ホスファチジルエタノールアミンN-メチルトランスフェラーゼ(PEMT)を用いてウイルスエンベロープをin vitroで放射能標識し、この標識ウイルスをホスト細胞結合放射能として検出する新規な方法Envelope labeled virus assay (ELVA)を考案し、この方法論の妥当性を明らかにした。 本年度においてはELVA法を最適化してその実験手法を確立するため、ホスト細胞の種類、PEMTによるウイルス標識反応時間、標識ウイルス検出のためのウイルス-ホスト細胞接触時間についてさらに検討した。その結果、バキュロウイルスの標識時間は1時間が適当であること、ホスト細胞としてはバキュロウイルスの結合容量および結合速度の点でHigh5昆虫細胞はSf-9やSf-21昆虫細胞よりも優れていること、その際の接触時間は1時間が最適であることを明らかにした。これらの最適化された条件の下、ウイルス試料の力価とELVA法によって得られる細胞結合放射能の関係を調べたところ、細胞結合放射能はウイルス力価の対数に比例し、ELVA法の検出感度は比較的高い(検出限界ウイルス力価は約10^3pfu/ml)ことが分かった。 次に、ELVA法の有用性を示すためウイルス安定性の評価にこれを応用した。すなわち、種々条件下で処理したバキュロウイルス試料をELVA法で分析し、先の細胞結合放射能とウイルス力価の相関関係から残存するウイルス力価を測定した。その結果、種々条件下におけるバキュロウイルスの失活挙動が明らかとなり、バキュロウイルスは常温でも非常に不安定であり、特にアルカリおよび酸性側で非常に失活し易いことが分かった。また、この失活を抑制するために、グリセロールやDMSOの添加、バキュロウイルス保存液の迅速な凍結融解が有効であることが分かった。
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Research Products
(2 results)