2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560685
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 清孝 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00063727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堀 深 早稲田大学, 理工学術院, 専任講師 (70329093)
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Keywords | 人工鰓 / 酸素キャリア / 促進輸送 / 海中開発 / バイオミメティクス |
Research Abstract |
水中の溶存酸素を気相中に取り込む装置を人工鰓という。現在までにさまざまな人工鰓が開発されたが、気相に得られる酸素濃度がヒトの呼吸に十分でないため実用化には至っていない。そこで、本研究では光刺激を駆動力として水中から気相へ酸素を汲み上げる人工鰓を開発した。 可視光照射によって酸素を解離し、遮光状態で酸素を結合する性質を有するモリブデンポルフィリン錯体(MolVO(tmp))をo-xyleneに分散させ、光刺激応答性酸素キャリア液を作製した。 作製した酸素キャリア液に可視光を照射し、酸素キャリア液の光刺激応答性を確認した。また、二室回分式セルにより、酸素キャリア液の酸素移動性能を測定した。これらの値を用いて、ヒト一人分の呼吸をするのに必要な人工鰓システムの供給空気酸素分圧を算出した。 酸素キャリア液に可視光を照射したところ、酸素キャリア液の酸素分圧を増加させることができた。これにより、酸素放散モジュールに酸素キャリア液を導入する前に、可視光を照射することで、酸素キャリア液の酸素分圧を増加させ、気相への酸素放散を促進できることがわかった。二室回分式セルを用いて、酸素吸収、酸素放散における酸素キャリア液の境膜物質移動係数を測定したところ、酸素キャリア液の境膜物質移動係数は水のそれと比較して僅かに小さいことがわかった。これらの結果より、ヒトの呼吸に必要な酸素を供給する人工鰓システムの供給空気酸素分圧を算出したところ、海水酸素分圧が低い10.OkPaにおいても、ヒトの呼吸に十分な酸素分圧である20.0kPaの酸素を気相に供給することが可能であった。 本研究の光刺激応答性人工鰓システムにより、低酸素分圧の水中においても、ヒトの呼吸に十分な高酸素分圧の気相空間をつくることができた。よって、この人工鰓システムは、海底探査艇などへの応用が可能である。
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Research Products
(1 results)