2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560685
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 清孝 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00063727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堀 深 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (70329093)
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Keywords | 人工鰓 / ガスキャリア液 / MoIVO(tmp) / o-xylene / スケールアップ / 境膜物質移動係数 / 必要膜面積 / 酸素 |
Research Abstract |
【緒言】ガスキャリア液循環型人工鰓において、酸素移動速度はガスキャリア液の性質に依存する。ガスキャリア液の酸素親和力を制御することによって大きな酸素移動速度を得ることができる。本研究では、暗所で酸素を配位し、可視光照射によって酸素を解離するoxo-molybdenum(IV)5,10,15,20-tetramesitylporphyrin(Mo^<IV>O(tmp))をガスキャリア液として用いた光刺激応答性人工鰓システムの開発を目的とした。 【方法】既存の方法によりMo^<IV>O(tmp)を合成し、これをシリコーンオイルに溶解したガスキャリア液を作成した。十分に大気飽和した後、Xeランプにより攪拌状態で光を照射した。酸素濃度の経時変化を測定し、完全に解離した値から初期値を差し引くことで酸素分圧変化を算出した。この後、光照射を止め、遮光時における酸素濃度の経時変化を測定し、酸素結合速度を算出した。境膜物質移動係数の算出にはPP膜を挟んだ二室回分式セルを用いた。酸素吸収時と酸素放散時のガスキャリア液側境膜物質移動係数を測定し、攪拌状態が同じ時の水側境膜物質移動係数から境膜物質移動係数比を求めた。 【結果および考察】光照射により酸素分圧を145mmHg上昇させることができた。また、遮光下で酸素結合速度を測定した結果、濃度の上昇に伴い結合速度が遅くなった。これは、高濃度の溶液になるにつれ、Mo^<IV>O(tmp)が凝集した状態になり、酸素と結合する部位が遮蔽されたためと考えられる。酸素吸収および酸素放散系における総括物質移動係数を測定した結果、境膜物質移動係数比が1以上の値をとったことにより、スケールアップ時に必要膜面積を小さくできることがわかった。 【結言】Mo^<IV>O(tmp)錯体はシリコーンオイル-PP膜系において、境膜物質移動係数比が1以上の値をとり、必要膜面積を小さくできる。ガスキャリア液を光照射した結果、大気中の酸素分圧の二倍程度を濃縮でき、ガスキャリア液循環型人工えらシステムに有用である。
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