2005 Fiscal Year Annual Research Report
好熱菌由来セルラーゼによる難分解バイオマス糖化機構の解明
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16560688
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
蓮實 文彦 沼津工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (90164805)
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Keywords | 耐熱性酵素 / セルラーゼ / 黒餡粕由来セルロース / 廃棄物利用 / ヘミセルラーゼ |
Research Abstract |
本研究期間で得られた成果は以下の通りである。 1 本セルラーゼの遺伝子上の特徴 昨年度、本酵素のクローニングを試みた。シークエンシングの目的で精製酵素の再取得を試みたが、本酵素生産単離株Bacillus sp.ET62株に変異が生じ、目的酵素の生産能を失った。凍結保存株、凍結乾燥株(寄託機関での保存も含め)からの復元を再三にわたり試みたが、目的酵素を生成させることはできなかった。 2 新たな黒餡粕由来セルロース分解微生物の探索 当初、計画していた目的酵素の生産能が失われたことから、黒餡粕由来セルロース分解能を有する好熱性微生物の探索を再度行った。149箇所の土壌試料から黒餡粕を唯一の炭素源、窒素源として生育可能な微生物23株を単離した。培養対数期に抗生物質Ampicillinを添加し、休止菌体とし、これを用いて黒餡粕の加水分解活性を測定することにより単離株の能力評価を行った。能力評価は反応により生成する還元糖をDNS法およびSomogy-Nelson法により測定することによって行った。その結果、最も高い加水分解活性を有し、且つ、保存安定性に優れるBacillus sp.AT18株を選んだ。本酵素は還元糖を生成するものの、グルコースは生成せず、キシロビオース以上のオリゴキシロースを生成した。このことから、本酵素はセルラーゼではなくキシラナーゼであることがわかった。本酵素は、誘導酵素であり、酵素生産には、培地中での黒餡粕成分の存在が必須であった。未精製段階での本酵素の最適pHは6〜7、最適反応温度は50℃、耐熱性を有することがわかった。 3 難分解バイオマスの構造的特徴 当初得られたセルラーゼは、カルボキシメチルセルロース加水分解活性が低く、黒餡粕とペーパースラッジに対し高い加水分解活性を示した。一方、本年度、黒餡粕を唯一の栄養源として取得されたAT18株由来の酵素は、キシラナーゼであった。このことから、黒餡粕やペーパースラッジ由来の難分解性繊維分は、セルロース構造のみならず、ヘミセルロースが構造の安定化に重要な役割を担っていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)