2005 Fiscal Year Annual Research Report
廃乾電池から回収した焙焼粉末の有効利用に関する研究
Project/Area Number |
16560713
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
中西 喜美雄 北見工業大学, 工学部, 技術専門職員 (80227834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二俣 正美 北見工業大学, 工学部, 教授 (60003191)
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Keywords | 廃乾電池 / 焙焼粉末 / 溶射 / 親水性 / 光吸収特性 / 電気抵抗 / 蒸発現象 / ライデンフロスト現象 |
Research Abstract |
本研究は,大部分が未利用である廃乾電池の焙焼材を溶射技術を用いて成膜化し,機能性皮膜としての有効利用法を検討したものである。皮膜は-105μmの篩い処理した焙焼粉末を用い粉末式ガス溶射装置によって作製した。本研究で得られた成果を,要約して次に示す。 1.焙焼粉末は溶射用粉末材料としての利用が可能であり,表面粗さ10.8μmRa,密着強度50MPa以上の黒色の皮膜が作製できる。 2.皮膜は,放射率が365〜1300nmの波長域で平均87.2%,吸収率が200〜800nmの波長域において93.2〜95.7%であり,また直流電気抵抗が230MΩ-cmと大きく,光,熱吸収性に極めて優れている。さらに電磁波照射による温度上昇も顕著であった。 3.皮膜に水滴を滴下したところ,水滴は瞬時に拡散した。表面温度20℃の場合,着滴直径が4mmになるまでの所要時間は10×10^<-3>s以下と,優れた親水性を示した。 4.体積14mm^3の蒸留水を373〜673Kに加熱した伝熱面に滴下した場合,皮膜ではライデンフロスト現象の発生は認められなかった。これに対して軟鋼基板の研削面およびブラスト面ではライデンフロスト現象が明瞭に観察された。 5.ライデンフロスト現象の発生を伴わない皮膜での水滴の蒸発時間は極めて短く,393K以上の伝熱面では0.5s程度であった。一方,ライデンフロスト現象の発生を伴う研削面およびブラスト面では蒸発時間は長くなり,最長はそれぞれ78s,38sであった。 6.673Kに加熱した試験片を沸騰水中に浸漬した際の冷却温度履歴と沸騰現象について調べた結果,皮膜では膜沸騰から核沸騰へと短時間で遷移し,冷却速度が研削面およびブラスト面に比べて著しく大きくなることが明らかになった。
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