2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ領域での化学状態を見るためのマイクロ化学状態分析装置の開発
Project/Area Number |
16560731
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松山 成男 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70219525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 浩道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00166654)
菊池 洋平 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50359535)
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Keywords | PIXE / RBS / off-axis STIM / マイクロビーム / エアロゾル / 個別粒子分析 / 細胞 |
Research Abstract |
環境中の元素濃度は、その濃度だけではなく、化学状態も人間の健康に重要な影響を及ぼしている。また、生元素内の必須微量元素についても、その摂取量だけでなく、化学状態によっても生体への影響が異なるため、環境中での化学状態を知ることは、非常に重要なことである。これらについては、これまでのようなバルクな状態での測定では、生体内での反応を知ることはできない。そこで本研究では、ミクロな領域での微量元素の化学状態の分析を行うことをめざす。当初の予定では、直接的な化学状態分析のために、マイクロビームとCCDをX線検出器とする結晶分光器を組み合わせる予定であったが、保有するCCDカメラの感度の高い領域が狭いことが分かり、多くの元素に対応できないことが分かった。そこでミクロの領域内で水素から重金属までの元素分布を測定し、間接的に化学状態を調べることをめざし、マイクロビームとPIXE,RBS,off-axis STIM法を組み合わせ、1ミクロンの分解能で水素から重金属までを同時測定が可能なマイクロビーム分析システムの開発を行った。これを環境試料であるエアロゾル個別粒子分析に応用し、粒子ごとの化学状態を知ることでき、エアロゾルの成因解明に関する知見を得ることができた。開発当初のシステムは、軽元素に対する感度が不十分であったが、RBS, off-axis STIM用検出器の大型化により、当初のシステムの10倍の感度を持システムを構築した。本手法は、バルクの試料であっても、ミクロンの領域毎の間接的な化学状態を知ることができるため、他の環境試料への応用が期待できる。生体試料の分析については、真空中での分析ではダメージによるO, Hの損失が起こるため、大気中での分析が必要となり、新たに大気中PIXE、RBS、off-axis STIM同時分析システムを構築した。しかしながら大気中分析であってもO, Hの損失が起こり、間接的な化学状態分析が困難であることが分かった。生体試料については、試料調整の際にも、化学状態が変化する可能性もあるため、試料調整も含めた分析手法の確立が今後とも必要である。
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