2004 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌におけるリボソーム複合体を拠点とした発現制御ネットワークの解析
Project/Area Number |
16570005
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
河村 富士夫 立教大学, 理学部, 教授 (10126039)
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Keywords | 枯草菌 / リボソーム / rRNAオペロン / リボソームタンパク質 / 翻訳制御 |
Research Abstract |
タンパク質合成装置の一構成要素である個々のリボソームタンパク質の機能を体系的に理解することを目的として、57種存在するリボソームタンパク質遺伝子群に関し遺伝子破壊を試み、遺伝子破壊可能な既知の3種(rplK, ypfD, ctc)も含めると、23種の遺伝子が単独破壊可能であるという結果を得た。破壊可能なリボソームタンパク質遺伝子の大半は、50Sサブユニットに局在する分子量1,0000前後の比較的小さな遺伝子群であった。これらの破壊株のうち、LB培地37℃の条件下での生育に影響が認められた9種(L1,L22,L23,L29,L31,L34,L36,S6,S21破壊株)については、ショ糖密度勾配超遠心分離法による70S複合体形成プロファイルに変化が認められた。さらに、L22破壊株では、粗リボソーム分画におけるS13, L20, S17, L32のタンパク質の存在量が低下していることが、プロテオーム解析の結果より明らかとなった。一方、枯草菌に存在する10個のrRNAオペロン(rrnA, rrnB, rrnD, rrnE, rrnIHG, rrnJW, rrnO)の多重欠失変異株の作成を試み、rrnJオペロンのみを有する変異株の構築に成功した。この変異株は低温での増殖が著しく阻害されるが、高温では野生株とほぼ同じ増殖速度であった。しかしながら、その胞子形成は高温で培養した場合に野生株の約100分の1にまで低下していた。さらに、細胞内リボソーム含有量を野生株と比較するために、L2とS12に対する抗体を用いてウエスターンブロット解析を行った。その結果、一個のrRNAオペロンになった細胞のリボソーム含有量は、十個のrRNAオペロンを持つ細胞の60〜70%であった。これらの結果は、単一のrRNAオペロンでは生存競争に勝ち抜くためには不十分であり複数のrRNAオペロンを持つように進化・適応してきたことを示している。
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