2005 Fiscal Year Annual Research Report
メガサテライトDNAの超可変性による協調進化と放散進化
Project/Area Number |
16570006
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Research Institution | Notional Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
瀬筒 秀樹 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫生産工学研究グループ, 研究員 (70342805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権藤 洋一 独立行政法人理化学研究所, 個体遺伝情報研究チーム, チームリーダー (40225678)
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Keywords | メガサテライトDNA / 反復配列 / 脱ユビキチン化酵素 / RS447 / タンデムリピート / ゲノム構造 / 可変性 / コピー数 |
Research Abstract |
RS447メガサテライトDNAは、ヒトで発見された単位長4.7kbの大きなタンデム反復配列である。コピー数が高頻度に変動するというトランスポゾン様の性質を持ちながら、脱ユビキチン化酵素をコードする重複遺伝子でもある。超可変性による協調進化と放散進化も予想される。この新しい概念であるメガサテライトDNAについて、昆虫をはじめとする各生物におけるゲノム動性を明らかにし、コピー数調節機構および遺伝子機能を解明することを目的とした。 研究材料・手法として、様々な生物のゲノムDNAを用いてサザンプロットハイブリダイゼーション等の実験を行い、RS447配列の生物種間における相同遺伝子の有無とゲノム構造(タンデム構造)の違いを明らかにした。また、近年拡充されつつあるゲノムデータベースを利用した解析を行った。本年度は、1)様々な生物でのサザンプロット解析の結果をまとめた。ほとんどの生物にRS447相同配列が存在していることを示した。しかしそのゲノム構造は様々であった。2)霊長目においても多様性があり、タンデム反復構造を持つ種、タンデム構造を失った種、複数のタンデム構造を持つ種がいた。3)各生物のゲノムデータベースから相同配列をBLAST検索したところ、昨年はヒットしなかった配列が多数見つかった。チンパンジーでは予想どおり高い相同性を示す配列が見つかり、カイコにおいても昨年より長い相同配列が見つかった。イヌやウシでも高い相同性を持つ配列が見つかり、ニワトリ、ゼブラフィッシュ、ミドリフグ、アフリカツメガエル等でも相同配列が見つかった。RS447配列のゲノム構造や反復ユニットの長さも約4〜8kbと生物種によって様々であり、コピー数の高い変動性が示唆された。高い可変性により、種内で配列の均一化が進む協調進化と、種間で配列の分化が進む放散進化が起きていることが示された。
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