2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロコズム法による環境変動に対する好酸性細菌群集変化の解析
Project/Area Number |
16570008
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿野 秀一 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (70154185)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 永祐 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00004482)
|
Keywords | 好酸性細菌群集 / マイクロコズム / 酸性湖 / 潟沼 / 成層・循環 / 硫化物 / FISH法 / DGGE法 |
Research Abstract |
宮城県鳴子町の強酸性湖潟沼において、4月から12月まで毎月1回、水温、溶存酸素濃度、硫化物濃度、pHなどの環境要因の垂直分布を測定したところ、7月に一時的な全循環がみられたものの4月から8月までは成層状態を示し、9月からは秋季循環期になった。成層期では、表水層には溶存酸素が存在して硫化水素は検出されなかったが、深水層は無酸素状態で硫化水素が蓄積していた。一方、循環期では全層において溶存酸素は存在し、硫化水素は検出できなかった。 成層期と循環期の表層水を実験室に持ち帰り、滅菌済みの綿栓をしたフラスコに分注して、酸性マイクロコズムを作成した。作成したマイクロコズムに、対照区、硫黄・硫化物添加区、有機物添加区、暗条件区、低温区に酸素供給条件と低酸素条件の組み合わせの操作を施し、インキュベータ内で培養した。培養開始時の細菌組成は、Acidiphilium属とAcidithiobacillus属にそれぞれ特異的な蛍光プローブによるFISH染色法によると、成層期では95%以上がAcidiphilium属で、循環期では両属が優占していた。ほとんどの操作区においてはAcidiphilium属の密度は変化しないか増加したが、Acidithiobacillus属はチオ硫酸ナトリウム添加区でのみ増加がみられた。また、有機物添加区ではこれら2属以外の細菌相の増加が観察された。これらのことより、pH2.2の酸性環境においては、Acidiphilium属が生育に適していて優占しているが、硫黄酸化のための硫化水素の供給がある時のみAcidithiobacillus属が増加可能であると考えられる。また、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法による解析から、Acidithiobacillus属は、At.albertensisとAt.caldusの2種が共存することが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)