2005 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロコズム法による環境変動に対する好酸性細菌群集変化の解析
Project/Area Number |
16570008
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿野 秀一 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (70154185)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 永祐 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00004482)
|
Keywords | 好酸性細菌群集 / マイクロコズム / 酸性湖 / 潟沼 / 成層・循環 / 硫化物 / FISH法 / DGGE法 |
Research Abstract |
強酸性湖潟沼において、2005年5月から12月まで毎月1回、環境要因の垂直分布を測定したところ、5月から8月までは成層状態を示し、表水層には溶存酸素が存在して硫化水素は検出されなかったが、深水層は無酸素状態で硫化水素が蓄積していた。その後9月からは循環期になり、全層において溶存酸素は存在し、硫化水素は検出できなかった。成層期の8月と循環期10月の表層水を実験室に持ち帰り、滅菌済みの綿栓をしたフラスコに分注して、マイクロコズムを作成した。作成したマイクロコズムに、対照区、二価鉄添加区、暗条件区、低温区、有機物添加区、低酸素条件、チオ硫酸添加区およびチオ硫酸添加・低酸素区の操作を施し、インキュベータ内で培養した。培養開始時の細菌組成は、Acidiphilium属とAcidithiobacillus属にそれぞれ特異的な蛍光プローブによるFISH染色法によると、成層期では約90%がAcidiphilium属で、循環期では両属がほぼ同密度で優占していた。ほとんどの操作区においては培養一週間後には2属の密度は変化しなかったが、チオ硫酸ナトリウム添加区においてAcidithiobacillus属が増加し、Acidiphilium属が減少した。また、低温区においても、Acidithiobacillus属の増加が見られた。変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法による解析かち、Acidithiobacillus属は、At.caldusが主な構成種であるが、チオ硫酸添加によってAt.albertensisも出現することと、Acidiphilium属にA.acidophilumだけでなく、別種のAcidiphilium sp.も存在することが確認できた。潟沼の強酸性環境においては、Acidiphilium属が生育に適していて常に優占しているが、秋から冬への水温の低下と共に硫黄酸化のための硫化物の供給がある環境においてAcidithiobacillus属が増加可能であると考えられる。
|
Research Products
(5 results)