2004 Fiscal Year Annual Research Report
多局在性植物細胞骨格結合タンパク質のアイソタイプの成因と分化・成長における役割
Project/Area Number |
16570034
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阿部 俊之助 愛媛大学, 農学部, 助教授 (40167937)
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Keywords | アピラーゼ / SN4TDR / 細胞骨格 / 発芽 / 吸水 / 遺伝子発現 / タンパク質 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
エンドウApyraseのリン酸化の可能性について、放射性同位元素(32P)を用いたラベル実験をおこなった。まず、CSBまたはTris Buffer(TB)で破砕したエンドウ芽生え租抽出液に、32PでラベルしたATPを加え、10-60分、4-25度Cでインキュベートしたのち、トータルタンパク質をSDS-PAGEにより分離し、PVDV膜に転写後ラジオオートグラフィーをおこないリン酸化の検出を行った。CSBにおいては10本程度、TBでは6本程度の明確なリン酸化と思われるタンパク質バンドをラジオオートグラフィーにより検出した。CSBのほうが、リン酸化能が高かったが、Apyraseの位置(49kDa)にはリン酸化は見られなかった。次に、エンドウの発芽中に32Pでラベルした無機リン酸を与えて取り込ませ、InVivoでのタンパク質リン酸化の検出を試みたが、リン酸化自体が検出できなかった。そこで、アイソタイプの成因をさらに調べるために、プロテアーゼで部分消化したApyraseを2次元展開し生じたスポットのうち等電点が移動するものを質量分析にかけて分析する方法を現在検討している。 吸水ならびに発芽開始したエンドウ種子の各段階から抽出したトータルRNAを用いてRT-PCRを行い、Apyrase(Apy1)とHMPの遺伝子発現の種子発芽中の経過をしらべた。その結果、Apyraseは、汲水中から発芽開始後10時間までの間は、発現が全く見られず、16時間以降急激な発現が確認され、すでに報告したタンパク質および酵素活性レベルでの発現パターンと完全に一致した。エンドウに存在するもう一つのApyraseの遺伝子、APY2の発現レベルはAPY1に比べ、著しく低かったがAPY1の誘導と似た発現を示した(農芸化学会支部会(岡山)。さらに、これらの凍結組織をミクロトームで薄切し、抗体をもちいたIn situでの発現分布を解析している。 HMP遺伝子(SN4TDR)の機能を分裂酵母モデルで調べ、Tubulinに関係する因子(Moe1)とリボソームタンパク質(Rpl22)との会合の可能性が示唆された(World Rice Research Congress 2004,筑波)。また、エンドウ種子での発現をApyraseと同様にRT-PCRにより調べたが、吸水前の乾燥種子胚にもmRNAが検出され、吸水中に発現が見られ、特に吸水6時間以降で増加し、発芽後まで緩やかな増加を続けた。この発現パターンはコントロールとして検出した構造遺伝子であるActinやTublinの発現と類似の傾向を示し、特にTubulinの発現に類似であった。このHMPタンパク質をWestern Blotで検出すると、乾燥胚、吸水および発芽の過程に関わらず常に一定量存在した。これらのことから、Apyraseは典型的な発芽後誘導を示す遺伝子である一方で、HMPはTubulinやActinのような構造的発現を示す遺伝子であることが遺伝子レベルで明らかとなった。
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Research Products
(2 results)