2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンチオーキシン耐性遺伝子の同定によるオーキシンシグナリング機構の解明
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16570042
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大野 豊 特殊法人日本原子力研究所, イオンビーム生物応用研究部, 副主任研究員 (30343940)
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Keywords | シロイヌナズナ / オーキシン / アンチオーキシン / PCIB / 2,4-D / aar1 / イオンビーム |
Research Abstract |
シロイヌナズナを用いてPCIBによる主根の生長阻害を指標にPCIB(パラクロロフェノキシイソ酪酸)耐性変異体のスクリーニングをおこなって得られたaar1-1は、オーキシンのうちNAAやIAAに対して野生型と同程度の感受性であるが2,4-Dに対しては感受性が低下している劣性変異体である。この変異体の原因遺伝子を明らかにするため、SSLPなどのマッピングマーカーを使用し、AAR1の遺伝子座が第4染色体の第4染色体長腕T6G15領域に存在することを明らかにした。次にこの領域の塩基配列レベルでの詳細な解析を試みたところ、aar1-1変異体ゲノムのこの領域に約44kbのゲノムDNAの欠失がみつかった。この領域には既知のオーキシン関連変異体・遺伝子は存在せずaar1が新規のオーキシン関連変異体であることが明らかとなった。そこでシロイヌナズナの種子バンク等よりこの領域の遺伝子に外来DNAが挿入された変異体系統を入手し、PCIB耐性を調べてみたところ、1系統のみPCIB耐性を示す系統が得られこれをaar1-2系統と名付けた。このaar1-2系統についてもT6G15領域について塩基配列レベルでの解析を試みたが、外来DNAの挿入のため、本来のゲノムDNAが27kbpにわたり欠失しているのがみつかった。そこで野生型由来の欠失領域のDNAをいくつかの断片に分断してaar1-1へ導入する相補実験をおこなった。その結果2種のORFを含む約5KbのDNA断片がaar1-1へ挿入されるとPCIBおよび2,4-Dに対する感受性が復帰することが明らかになった。今後さらに小さな断片をaar1-1へ導入し、PCIBや2,4-Dに対する感受性に係わる遺伝子を突き止める予定である。
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