2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミドリゾウリムシにおける排他的細胞内共生システムの成立機構
Project/Area Number |
16570053
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
洲ざき 敏伸 神戸大学, 理学部, 助教授 (00187692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 正樹 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (80291053)
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Keywords | 原生動物 / ゾウリムシ / 共生 / クロレラ / 酵母 |
Research Abstract |
今年度は、単離培養した共生クロレラの白色ミドリゾウリムシヘの感染過程の電子顕微鏡解析を行った。その結果、大量の電子密度の高い顆粒がゾウリムシの細胞内に出現することを新たに見出した。そのうち、トリコシストの近傍に位置するものは、トリコシストに融合しているように見えた。他のゾウリムシ属において、トリコシストに融合するような顆粒の存在は報告されていないので、この顆粒がミドリゾウリムシにおけるクロレラとの共生の確立・維持に何らかの役割を果たしている可能性が示された。顆粒の微細構造を詳細に電子顕微鏡で観察を行ったところ、顆粒は膜のような構造で仕切られた2重構造をしているらしいことと、少なくとも顆粒の内部構造はトリコシスト本体を包んでいる脂質膜と融合しているらしいこと、しかし顆粒の外側の部分はその構造があいまいでトリコシスト本体と本当に融合しているかどうかは判断がつけられないことが分かった。顆粒の微細構造のより良い保存には液体窒素などを用いた急速凍結などによる固定が必要だと考えられる。今回の一連の研究により、本研究で確立したミドリゾウリムシの無菌二者培養法によって十分な質と鼻の細胞が得られるようになったことから、ミドリゾウリムシ細胞内で共生生物を包んでいるperi-symbiotic小胞の膜の膜タンパク組成の特徴や生理学的特長を、peri-symbiotic小胞の元である通常の食胞膜と比較することで明らかにできるだろうという結論に達した。そのためには、peri-symbiotic小胞膜の分子生物学的・生理学的解析とともに共生生物の感染・維持・排除の過程を詳しく観察する必要があるが、それは今後の課題として残った。
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