2004 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の後胚発生期における飛翔筋の周期的活動の発生機構とその機能的意義
Project/Area Number |
16570065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市川 敏夫 九州大学, 理学研究院, 助教授 (50136420)
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Keywords | カイコガ / 神経分泌細胞 / ペプチドホルモン / 飛翔筋 / 筋発達 / 代謝酵素活性 / 収縮速度 / 筋弛緩 |
Research Abstract |
カイコガの食道下神経節には、フェロモン生合成活性化神経ペプチド(PBAN)およびその類似ペプチドを分泌する細胞が5対存在する。PBAN類分泌細胞は、蛹中期から終期まで周期的な発火活動を継続しており、その活動は発達中の飛翔筋の電気的活動と非常によく同調していた。このことは電気的な活動が飛翔筋の発達・成熟に重要であることおよびPBAN類がその過程の調節に何らかの関与していることを示唆している。電気的活動の筋発達に与える影響を調べるために蛹中期に片側の飛翔筋神経の切断をし、非切断側と比較したところ、切断側の筋収縮速度が遅く、また筋重量も有意に少なかった。ペプチドホルモンの飛翔筋発達への関与の仕方として2つの可能性が考えられる。1つは筋の肥大やエネルギー代謝効率の上昇などの筋増強作用と、もう1つは発達中の飛翔筋の収縮を抑制し、クチクラ(外骨格)からの脱離を防止するなどの筋弛緩作用である。本年は主に第1の可能性について検討するために、蛹中期で食道下神経節の除去を行って代謝酵素活性を正常個体と比較した。酵素活性はクエン酸回路の酵素であるアコニターゼ、脂肪酸代謝の指標酵素である3-ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ(HAD)について調べた。食道下神経節除去個体の酵素活性は正常個体に比べて個体差が大きく、平均するとアコニターゼ活性は約10%減少し、HADでは有意差は見られなかった。これらのことから、PBAN類の発達中の飛翔筋に与える筋増強作用はあまり大きくないと考えられた。
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Research Products
(1 results)