2005 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア地域における爬虫類の多様性と生物地理に関する研究
Project/Area Number |
16570074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
疋田 努 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40135512)
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Keywords | 爬虫類 / 生物地理学 / 東南アジア / 多様性 / Tropidophorus / 分類学 / 系統学 |
Research Abstract |
平成16年度に行ったアメリカ合衆国と中国の主要な博物館,研究所のタイプ標本を含む所蔵標本の調査で明らかになったいくつかの問題が明らかになった.雲南省西部から記載されたT.yunnnanensisは,インドシナ地域に広く分布するTropidophorus berdomoreiの新参異名とされてきたが,別種の可能性が高く,ミャンマー北西部に分布しているらしいことがわかったが,タイプ標本が失われたばかりでなく,雲南省からその後まったく標本も得られていない.そこで,T.yunnanensisのタイプ産地である雲南省西部に,昆明動物研究所の協力を得て,平成17年9月に野外調査を行った.しかし,残念ながらこの調査では採集することが出来なかった.分子系統の仕事については,カナダのオンタリオ自然史博物館Murphy博士の協力で,5種の組織標本を提供され,この属の種分化の全貌が明らかとなった.この属は,フィリピン、ボルネオ、スラウェシ産とインドシナ半島のT.cocincinensistとT.microlepisが1つのクレイドとなり、それ以外の大陸産がもう一つのクレイドをつくった.この2つのクレイドは,独立に進化したか,非常に古くに分化して別々に進化したものと考えられる.マレー半島南部,スマトラ,ジャワに分布を欠く奇妙な分布パターンは,この2つのクレイドが気候の違いや渓流域で生活するために陸地が連続しても分布を広げることが出来なかったためと考えられた.また、体の扁平化した3種のうちタイ産の2種がT.berdmoreiに、ベトナム産の1種はT.baviensisに近縁で、別々に進化した可能性が高いことが判明した。この結果については、Zoologica Scriptaに出版された。総説は準備が進んでいるが,最近ベトナムで1種記載され,また,タイから新たに1種が発見されたので,これらのデータを加えるために,もう少し時間が必要である.
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Research Products
(1 results)