2004 Fiscal Year Annual Research Report
紅藻ムカデノリ科熱帯・亜熱帯性種群の系統分類学的研究
Project/Area Number |
16570078
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川口 栄男 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50195054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶌田 智 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 助手 (40322854)
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Keywords | 紅藻ムカデノリ科 / 熱帯・亜熱帯種群 / 系統分類 / rbcL遺伝子 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画では、7月に鹿児島県南部の調査を行う予定であったが、台風が連続して上陸した影響により、9月に延期せざるを得なかった。そのため、材料の収集に多少の誤算はあったが、全体として概ね順調に研究材料が収集できた。以下にその概要を述べる: (1)種子島でのイソナハナ属一種(Halymenia maculata)生育の確認は、上記の理由で調査が遅れ、残念ながらできなかった。本種の生育の確認および材料収集は2005年3月半ばに予定している奄美大島調査に期待する。 (2)2004年の9月、12月の2回の調査で、チャボキントキ類似種およびYonagunia属一種の追加材料が採集できた。現在、詳細な形態観察(川口担当)とrbcL遺伝子解析(嶌田担当)をおこなっている。 (3)イソノハナ属については、我々の調査で3種、Halymenia dilatata, H.maculata, H.durvillei、が区別されてきている。タイプ産地がスペイン南部であるイソノハナH.floresiaと同定できる材料は含まれない。これまで、日本から報告されてきた本種はH.durvilleiである可能性が大きい。この点は、次年度8月に予定しているスペイン南部調査で得られる筈の真のH.floresia材料の分子解析により、明確な結論を出せるものと確信する。 (4)ビショップ博物館所蔵Halymenia sp.のrbcL遺伝子解析の結果、本材料は種レベルで本属のどの種とも異なることが判明した。分析に用いた材料では、形態観察が不十なため、次年度5月に予定しているマレーシア調査に、上記材料の採集地での調査も合せて実施し、新たな材料を得て詳細な形態観察を加え新種として発表する。 以上のように、本年度は材料の収集とその観察、分子分析を中心に研究をおこなった。
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