2005 Fiscal Year Annual Research Report
NMRによるタンパク質分子複合体の迅速な立体構造決定方法の開発
Project/Area Number |
16570090
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小椋 賢治 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50270682)
|
Keywords | NMR / タンパク質 / 立体構造 |
Research Abstract |
本研究課題において,研究代表者は,タンパク質-タンパク質あるいはタンパク質-低分子化合物複合体の立体構造を迅速に決定できるよう,新しい安定同位体標識法を提案することを目的とした. 好中球NADPHオキシダーゼの構成成分,p67phoxのTetratricopeptide repeat (TPR)ドメインは,GTP結合状態のRacと結合することにより,NADPHオキシダーゼを活性化する役割を担っている.研究代表者らは,p67phoxのTPRドメイン(203残基)の主鎖連鎖帰属およびメチル基特異的帰属をおこなった.Val,LeuおよびIleのメチル基のみプロトン化された2H/13C/15NラベルTPRドメインを作成し,NMRスペクトル解析をおこない,連鎖帰属を完了した.さらに,プロトン化されたVal,LeuおよびIleのメチル基についても帰属することができた.さらに,このTPRドメインのグローバルフォールドを迅速に決定することができた(投稿準備中).この手法はタンパク質単体の立体構造決定だけでなく,タンパク質分子複合体においても応用可能である. Grb2タンパク質のSH2ドメインは乳癌との関連が指摘されている,細胞内シグナル伝達において重要なタンパク質である.近年,米国保健研究所Burke博士より開発された低分子化合物がGrb2 SH2ドメインに対して強い親和性を持つことが示され,薬剤候補化合物として注目が集まっている.研究代表者は,Grb2 SH2ドメイン-この薬剤候補化合物の複合体の立体構造をNMR法を用いて決定した.構造解析過程にて,Grb2 SH2ドメインを重水素標識することにより,タンパク質に結合した低分子化合物のNMR信号を高感度で検出することができ,このタンパク質分子複合体の立体構造を従来よりも短時間かつ高精度で決定することができた(投稿準備中).
|
Research Products
(3 results)