2005 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体カルシウムポンプの触媒部位からCa^<2+>輸送部位への共役エネルギーの伝
Project/Area Number |
16570091
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90207267)
|
Keywords | Sarcoplasmic Reticulum / Ca2+-ATPase / SERCA / Darier Disease / Hydrophobic Interaction / phosphoenzyme / Ca2+ transport / Calcium pump |
Research Abstract |
筋小胞体Ca^<2+>-ATPase(SERCA1a)はATP加水分解に共役してCa^<2+>を細胞質から小胞体内腔に汲み上げ、Ca^<2+>による細胞機能制御に必須の役割を果たす。Ca^<2+>輸送部位は膜貫通ドメインにあり、細胞質に突き出た領域の3つのドメイン(A、P、N)に触媒部位がある。リン酸化部位がP(リン酸化ドメイン)に、ATPのアデノシン部分の結合ポケットはN(ヌクレオチド結合ドメイン)に存在する。 Ca^<2+>輸送は、細胞質の3つのドンインの相互作用の変化が輸送部位に伝達されることによると予想されている。我々は、リン酸化中間体(EP)の構造転換に伴いAドメインが90°以上も大きく回転しドメインPへ結合すること、この変化はEPの構造転換と小胞体内腔へのCa^<2+>放出に必須であろうこと、さらにドメインAの根元にあるTyr^<122>が構造転換後のEPの構造形成に重要な役割を担うことを明らかにした。Tyr^<122>は構造転換後のEPに相当する結晶構造ではドメインAとPの六つの疎水性残基の中心に位置し、両ドメインの接合面で疎水性クラスターを形成する。Tyr^<122>疎水性クラスター形成とそれによるドメインA-P間相互作用の役割を明らかにするため、クラスターを形成する7残基それぞれをAlaおよびSerで置換した変異体を作成し、速度論的に解析した。リン酸化中間体の構造転換と小胞体内腔へのCa^<2+>放出がどのような構造因子の貢献によりどのように逐次的に進行するかの詳細が明らかになった。Tyr^<122>疎水性クラスター、Ile^<235>、およびT^<181>GEの3つの近接した構造因子は、それぞれ独自の構造的および触媒的機能を果たすことにより全体として協調しこの逐次的プロセスを可能にしている。本研究により、Ca^<2+>輸送における最も重要なプロセスについての理解が顕著に進み、これによりエネルギー共役機構の解明に大きく貢献した。
|