2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼの反応中間体の立体構造に基づく特異的反応の解明
Project/Area Number |
16570095
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / 結晶構造 / シアノバクテリア / 光捕集色素 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)はヘム分解系の主要な酵素であり、酸素と還元力を用いてヘムのα-位を特異的に開裂し、ビリベルジンIXα、CO、鉄へと分解する。HOは基質であるヘムを結合してヘムタンパク質様の性質を示し、ヘムを補酵素のように使って酸素を活性化するという特徴がある。HOの主な生理学的役割は、哺乳類ではヘムの無毒化と鉄の再利用であるが、ラン藻などの光合成生物では光合成色素の合成である。ラン藻の一種であるSynechocystis sp.PCC 6803は2つのHO(Syn HO-1とSyn HO-2)を持っている。Syn HO-1とヘムとの複合体の結晶構造を2.5Å分解能で決定し、rat HO-1と基本的に同じフォールディングを有することを明らかにした。しかし、分子表面の電荷分布に大きな違いが見られ、Syn HO-1ではプラスに荷電した領域が、rat HO-1よりもずっと狭い範囲に限られていた。この結果から、rat HO-1はNADPH-cytochrome P450 reductase(77KDa)で還元されるのに対し、Syn HO-1は酸性小タンパク質であるフェレドキシン(11KDa)で還元されるということに対して構造基盤を与えた。さらに、Syn HO-2とヘムとの複合体およびそのNO体の結晶構造をも決定した。これらの複合体は2量体を形成しているという特徴を持つ。興味深いことに、Syn HO-2は単独では単量体であり、ヘムを結合するに伴って2量化する。また、NOがSyn HO-2中のヘム鉄に結合するに伴い、アミノ酸残基の側鎖にコンフォメーション変化が起ることを見つけた。このことから、HO反応に必要なプロトンの供給経路を示した。
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Research Products
(3 results)