2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブフネラゲノム情報にもとづく昆虫細胞内共生系維持機構の解析
Project/Area Number |
16570110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森岡 瑞枝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20272461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 哲彦 玉川大学, 学術研究所, 助教授 (60235257)
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Keywords | 細胞内共生系 / ブフネラ / タンパク質輸送 / 鞭毛 / フック基部(HBB)複合体 / Sec |
Research Abstract |
細胞内共生系におけるタンパク質輸送機構を分子生物学的および細胞生物学的側面から解析した。昨年度予想外の研究進展が得られたので、当初の研究計画を多少変更した「17年度交付申請書」に基づき研究を遂行し以下の成果を得た。 (1)昨年度、ブフネラゲノム上のHBB関連遺伝子はすべて活発に転写されていることをRT-PCR法により証明した。今年度は、当該遺伝子の発現と宿主昆虫の発生段階あるいはモルフとの関連を解析するため、無翅型、有翅型アブラムシの胚・幼虫・成虫からブフネラを外科的に単離し、RNA抽出後、定量的PCR解析を行いHBB関連遺伝子発現の推移を詳細に解析した(論文投稿中)。 本課題遂行中、最終脱皮直後の有翅虫において菌細胞あたりのブフネラ数(密度)が一過的に激減すること、更に、無翅虫のブフネラとはヘマトキシリン染色像が全く異なることを見出し、DNAの存在様式にも差異がある可能性が暗示され、予期せぬ問題提起となった(論文準備中)。 (2)共生系におけるタンパク質輸送の代替装置としてHBB複合体以外にSecシステムの関与を検証した。これまでに、RT-PCRによりSec関連遺伝子はいずれもブフネラ内で活発に転写されていることを明らかにすると共に、SecBにより認識されるシャペロニン基質の解析を開始し、すでに免疫共沈降法および2D-PAGE法により数種の候補タンパク質を検出し、現在PMF解析を進行中である。 (3)HBB複合体を介したタンパク質輸送機構の実体を解明するため、単離ブフネラを蛍光標識物質とインキュベートし、共焦点顕微鏡観察によりブフネラ細胞内への移入を確認できたことから、in vitroタンパク質移入Assay系が構築できたものと判断する。 (4)「ブフネラ移行シグナル」の推定は、アブラムシゲノムプロジェクトの進展が予想外に遅れ、菌細胞EST解析も未完結のため中止せざるを得なかった。
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