2004 Fiscal Year Annual Research Report
細菌貪食による要除去細胞排除の分子機構と生理学的意義
Project/Area Number |
16570112
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
白土 明子 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (90303297)
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Keywords | 貪食 / 自然免疫 / ホスファチジルセリン / 精子形成 / スカベンジャー受容体 |
Research Abstract |
生体内で不要または有害となった細胞にはアポトーシスが誘導され,このような細胞は食細胞による貪食により生体から排除され,個体の恒常性が保たれている。本年度は,食細胞による標的取り込みと輸送の細胞内情報伝達機構と,動物実験による貪食反応の病態生理学的意義とを解析した。 1)SR-BIを介したセルトリ細胞による精子形成細胞の取り込み調節機構 アポトーシス細胞を認識したセルトリ細胞では,細胞内情報伝達経路のMAPキナーゼのp38とERKI/IIとが活性化し,前者の活性化はSR-BIを介していた。このようなMAPキナーゼの活性化は,セルトリ細胞のアクチン骨格変動を伴った標的取り込みとは無関係であったが,SR-BIの機能阻害により精子形成過程進行が抑制されたことから,p38活性化はセルトリ細胞による精子形成支持に必要と推測された。 2)インフルエンザウイルス感染細胞の貪食によるウイルス排除機構 インフルエンザウイルス感染モデルマウスを用い,インフルエンザウイルス感染細胞のマクロファージによる貧食阻害剤投与時のマウスの病態変化を解析した。ウイルス感染時に貧食阻害剤としてPS結合タンパク質アネキシンVまたは糖鎖のシアリルラクトースを投与したマウスは,非投与群に比べて肺組織中の炎症程度が大きく,また死亡率が高くなるとわかった。 3)貪食胞とリソソームとの融合調節機構 マクロファージ内に取り込まれた標的を含む貪食胞はリソソームと融合し,標的はリソソーム内酵素群により分解される。本研究では,貪食胞とリソソーム融合を調節する細胞内情報伝達経路を探った。その結果,貪食時にMAPキナーゼ経路のp38とERKI/IIが活性化され,両者により貪食胞のリソソームへの融合が抑制されるとわかった。
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Research Products
(6 results)