2005 Fiscal Year Annual Research Report
GPIアンカーによる蛋白質の機能・発現制御機構の解析
Project/Area Number |
16570116
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 裕輔 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (00294124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 タロウ 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10153165)
村上 良子 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (00304048)
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Keywords | GPIアンカー / 輸送 / リモデリング / 脱アシル化 / ラフト |
Research Abstract |
(1)イノシトール脱アシル化酵素のノックアウトマウスの作成およびその表現形解析 GPIアンカーのイノシトールに結合している脂肪酸の脱アシル化の異常はGPIアンカー型蛋白質の細胞膜発現のレベルに影響を与えないにも拘わらず、ほとんどすべての細胞や分子でこの脱アシル化が起こるという事実は、その個体レベルでの重要性・必要性を強く示唆する。その意義を解明するため我々が同定したイノシトール脱アシル化酵素PGAP1遺伝子のノックアウトマウスを作成した。ノックアウトマウスの大部分はotocephalyの表現系を示し胎生致死であったが、一部成長遅滞を伴いながらも生存した。成熟した雄のノックアウトマウスは不妊であった。精子の数・運動性は正常であったが子宮卵管への侵入および卵子への結合能に異常を認めた。 (2)GPIアンカー型蛋白質の細胞表面への発現制御機構の解析 GPIアンカー型蛋白質の生合成は正常であるが、細胞表面の発現が著しく低下する変異細胞株を樹立した。この変異細胞の解析によりGPIアンカー型蛋白質の脂質部分のリモデリング機構の異常が原因であり、その責任遺伝子PGAP2も同定した(田嶌ら,MBC,2006)。またこの変異細胞をさらに変異原で処理し細胞表面のGPIアンカー型蛋白質が回復する2重変異株を得た。この細胞ではGPIアンカー型蛋白質はラフトにほとんど局在していないことが判明した。GPIアンカーの脂質部分を質量分析機で解析した結果、正常細胞では飽和型脂肪酸であるのに対し、2重変異株では高度不飽和脂肪酸であった。この事実は哺乳類細胞において脂質部分のリモデリング機構が存在する初めての直接的証拠であり、GPIアンカーの飽和型脂肪酸がラフトへの局在を規定している重要な因子であることを初めて示した。
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Research Products
(4 results)