2005 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系におけるミネラルコルチコイド産生・作用の制御機構
Project/Area Number |
16570122
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
向井 邦晃 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80229913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 芙美子 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60041852)
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Keywords | ステロイドホルモン / ミネラルコルチコイド / アルドステロン / グルココルチコイド / アルドステロン合成酵素 / ミネラルコルチコイド受容体 |
Research Abstract |
アルドステロン(ALDO)は、哺乳動物において水電解質代謝を制御する最も強力なミネラルコルチコイド(MC)である。ALDOは、副腎皮質球状層から産生され、水電解質輸送を行う上皮細胞でMC受容体を通じて作用発現することが従来より知られている。しかし、近年、心臓、大動脈でALDOが微量産生され、近傍でMC受容体を介して作用する証拠が蓄積してきた。心血管系では、MCが心肥大・線維化、血管の恒常性への関与が示されている。本研究では、心血管におけるALDO合成系、作用系による心肥大・線維化の分子機構の解析を目的とした。 これまでの研究により、心臓・大血管におけるアルドステロン合成・作用系因子のmRNAレベルは、正常ラットにおいて検出可能であるが極めて低いレベルであることが判明した。そこで、内因性アルドステロン産生による心肥大・線維化のモデルとしてDahl食塩感受性ラットを用い、心血管における産生・作用系因子の発現レベルを解析した結果、食塩負荷によりALDO合成酵素mRNAレベルが有意に増加した。一方、MC受容体、グルココルチコイド(GC)合成酵素、GC受容体等のmRNAレベルは変化しなかった。この結果から、心肥大・線維化の病態形成に伴って心血管系におけるALDO合成が増加がしうることが示唆された。もう一つのモデルとして、食塩負荷正常ラットへのALDO持続投与によるMRを介した心肥大・線維化が知られる。新規細胞外因子AZ-1は、心臓では冠状動脈等の血管平滑筋基底膜に選択的に局在する。ALDO依存の心肥大・線維化におけるAZ-1の局在変化を解析した結果、ALDO投与に依存して心筋細胞基底膜、心筋内毛細血管にAZ-1の蓄積が検出された。以上の結果から、心肥大・線維化においてはMC受容体によるALDOに対する特異的な応答が起こり、AZ-1を含む細胞外マトリクス蛋白質が蓄積することが示唆された。
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