2004 Fiscal Year Annual Research Report
トリプトファニル-tRNA合成酵素の遅延型過敏症反応における生理機能解析
Project/Area Number |
16570124
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
渡辺 直子 東邦大学, 理学部, 助教授 (80230978)
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Keywords | 遅延型過敏症反応 / トリプトファニル-tRNA合成酵素 / アポトーシス / モルモット / ジーンガン |
Research Abstract |
遅延型過敏症(DTH)反応を惹起した皮膚において、トリプトファニル-tRNA合成酵素(TrpRS)タンパク質の発現を解析したところ、mRNAの発現に遅れて惹起後24時間で発現が増加し始めて48時間まで増加し、72時間後でも発現量がほぼ変わらなかった。また、TrpRSは、in vitroにおいてエラスターゼで切断を受け、N末端部分を欠くT1、T2-TrpRSを生じるが、興味深いことに、DTH反応惹起後48時間をピークとしてT1、T2-TrpRSの大きさに相当するバンドが検出された。次に、DTH反応を惹起したモルモット皮膚凍結切片を用いてTUNEL assayを行ったところ、表皮付近でアポトーシス細胞が観察され、惹起後48時間までアポトーシス細胞数が増加した。モルモットの胸腺細胞にアポトーシス誘導したところ、TrpRSの一部が細胞上清に分泌されたことから、DTH反応によって産生が増加したTrpRSは、反応局所で誘導されるアポトーシスに伴って細胞外に放出され、浸潤してくる好中球エラスターゼにより切断されてT1、T2-TrpRSを生じることが示唆された。T1、T2-TrpRSは、in vitroにおいて血管新生抑制作用を持つことが報告されており、DTH反応の終息に関わっている可能性が考えられた。 DTH反応に対する影響を解析するにはin vivoでの解析が必要であるが、マウスと同様の解析手段を用いることはできない。しかし、DTH反応が皮膚で起こるため、ジーンガンを用いた導入法が有効であると考え、green fluorescent proteinの蛍光を指標として、外来遺伝子を導入できることを明らかにした。
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