2004 Fiscal Year Annual Research Report
非共鳴ラマン分光法によるタンパク質全体の構造変化の追跡
Project/Area Number |
16570131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 雅司 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50255428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 清語 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10127152)
徳永 史生 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025452)
徳富 哲 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (90142009)
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Keywords | ラマン分光法 / 振動分光法 / 光受容タンパク質 / 密度汎関数法 / 信号伝達 |
Research Abstract |
タンパク質が機能する上で重要な動的構造を解析する研究手段にラマン分光法がある。ラマン分光法によるタンパク質研究のほとんどは励起光の波長と分子の吸収波長が一致するとラマン信号が増大する共鳴効果を用い、発色団など特定部位の振動スペクトルを測定している。しかし共鳴効果は吸収帯が200nm以下の鎖状アミノ酸残基には応用できず、タンパク質全体の構造解析には限界がある。そこで本研究では光受容タンパク質を題材に非共鳴ラマン分光を中心にした研究から機能発現に伴うタンパク質全体の構造変化の追跡を試み、以下の成果を得た。 1.紅色光合成細菌由来のイエロープロテインについて、その光反応サイクルのメカニズムを解明する上で鍵を握る短寿命L中間体の構造解析を行った。その結果、L中間体の活性部位には2つのコンフォメーションが存在することを見いだした。また活性部位近傍のアミノ酸残基を改変した変異タンパク質を用いた実験や密度汎関数理論に基づいた基準振動解析を行い、各コンフォメーションにおける構造の違いを明らかにした。 2.フラビンを発色団として有する光受容BLUFタンパク質について、そのラマンスペクトルの測定を行った。測定は全て非共鳴条件下で行い、光反応サイクルに伴う発色団やタンパク部分の構造変化の観測に成功した。その結果、BLUFタンパク質は他の光受容タンパク質と異なり、光照射による発色団自身の大きな構造変化が見られず、発色団-タンパク間相互作用の変化が引金となって、信号伝達を実現していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)