2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570137
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences |
Principal Investigator |
玉腰 雅忠 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (10277254)
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Keywords | 高度好熱菌 / 線毛 / 自然形質転換 / twitching motility |
Research Abstract |
(1)高度好熱菌Thermusthermophilusを用いて液体培地と寒天培地でのDNA取り込み(自然形質転換)能を比べたところ、寒天培地上の方が液体培地中より数倍以上効率が高いことを見出した。このメカニズムの詳細は不明であるが、線毛が外界の違いを細胞内に伝達し、線毛の機能または構造変化が起きて効率の差が現れると思われる。このような効率の違いは多種生物では報告がない。通常DNAの取り込みは液体培地中で行われてきたが、固体培地上での取り込み効率向上は、遺伝子操作の利便性を向上させる上で重要な発見といえる。(2)グラム陰性菌によるDNAの細胞内取り込みは、線毛の伸張・DNAとの接着・線毛の収縮・DNAからの脱離という4つのステップにより起きると思われている。線毛の収縮に関わるATPaseはPi1Tタンパク質と呼ばれているが、T.thermophilusにはそのホモログが2種類見出されていた(pi1TlおよびpilT2遺伝子産物)。他の生物種ではこれらの遺伝子を破壊するとDNAの取り込み能が失われる。しかしT.thermophilusの場合、pilT2遺伝子破壊株では影響なかった。またpilT1遺伝子破壊株の場合、液体培地中での形質転換には影響なかったものの、寒天培地上でのDNA取り込み能を失った。このことからもやはりこの好熱菌が固相培地と液体培地を区別し、線毛の機能または構造に変化をもたらすという考えを支持するものである。(3)線毛の機能の一つに、細胞の固相表面移動(twitching)が知られている。上記のpilT1およびpi1T2遺伝子破壊株では共にこの表面移動現象が起きなくなり、この点では他の生物種と同じであった。
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