2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックスと進化情報の融合によるDNA修復関連タンパク質の機能アノテーション
Project/Area Number |
16570138
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
由良 敬 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究副主幹 (50252226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 恒 独立行政法人, 日本原子力研究開発機構・量子ビーム応用研究部門・中性子生命科学ユニット, 研究職 (60360418)
樋口 真理子 独立行政法人, 日本原子力研究開発機構・量子ビーム応用研究部門・中性子生命科学ユニット, 博士研究員 (90370460)
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Keywords | DNA修復タンパク質 / ゲノム / RuvA / MutT / 分子進化 / 分子動力学 / アノテーション |
Research Abstract |
本研究課題では、タンパク質の機能にかかわる動的構造を担うアミノ酸残基をシミュレーションで同定し、その残基の進化的保存性から、共通祖先由来タンパク質の機能類似性を推定することを目的としている。本研究は特にDNA修復関連タンパク質に関して展開することを計画した。平成17年度は、約230種存在するDNA修復関連タンパク質のうち、MutTとRuvAに集中して、研究を展開した。大腸菌のMutTにおける分子動力学シミュレーションの結果、基質である8-oxo-guanineがMutTと相互作用するためには、MutTにおける2本の腕構造が重要であることがわかった。このことからMutTホモローグ遺伝子において、腕構造の有無がDNA修復関連タンパク質としての機能と密接に関係することが推定された。放射線抵抗性細菌Deinococcus radioduransのゲノムにはMutTホモローグが少なくとも27個あり、これらのうちのいずれが8-oxo-guanineを基質にしているかはわかっていない。そこですべてのMutTホモローグのホモロジーモデリングを行い、分子動力学シミュレーションから得られた知見にもとづき、8-oxo-guanineを基質とする可能性が高いMutTホモローグを探索した。その結果27個のうちの17個は、8-oxo-guanineの分解に関与しない可能性が高いことがわかった。平成18年度には、本解析をさらに詳細につめることによって、Deinococcus radioduransゲノムにおけるアノテーションの高度化を目指す。本年度には、大腸菌のRuvAがDNAのホリデー構造をどのように移動するかを、分子動力学シミュレーションにより明らかにすることができた。その結果、DNAと相互作用するAspが重要な役割を演じていることが判明した。ところが、多くの生物種におけるRuvAホモローグのアミノ酸配列を調べたところ、Aspが存在しない配列もあることがわかった。このホモローグが大腸菌のRuvAと同じ機能を担っているかが、平成18年度における重要な問題となった。
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