2004 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いた遺伝性疾患・発生異常に関わるAAAタンパク質の分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
16570147
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山中 邦俊 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (90212290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椋 光 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (00158825)
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Keywords | AAAタンパク質 / ATPase / 線虫 / fidgetin / 分子シャペロン / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / p97 / VCP |
Research Abstract |
AAAファミリータンパク質p97/VCPは、ヒトやマウスでは1種類しか存在しないが、線虫には2種類のホモログが存在する。それぞれの遺伝子の欠損変異体を入手し、それらを解析した。C06A1.1の欠失変異体は、産卵数が野生体の半分以下に減少し、かわりに未受精卵を多く産むようになることを見いだした。早い段階で精子が観察できなくなり、これは未受精卵を産みはじめる時期と一致していた。さらにC06A1.1の欠失変異体と野生体の雄とを交配させると産卵数が野生体のレベルに回復した。これらのことから、C06A1.1は精子形成に重要な役割を担っていることが示唆される。一方、C41C4.8の欠失変異体ではこのような差異は観察されなかった。両変異体とも運動能・寿命・化学走性などには、野生体と比べて差異は観察されなかった。 AAAファミリータンパク質のATP加水分解のメカニスティックを明らかにするために、昆虫細胞を用いて発現・精製した線虫fidgetinホモログについて生化学的解析を行なった。ATPase活性に必須または関連しているアミノ酸残基に変異を導入し、変異タンパク質を精製した。その結果、今までに報告されている重要な残基は線虫fidgetinホモログにおいても重要であることを確認した。単独では活性を持たない変異タンパク質であるが、2種類混合すると組み合わせによって活性が現れることを見いだした。この組み合わせにおいては、ヘキサマーの中に必ず野生型のサブユニット間配列が存在することがわかった。この結果はAAAファミリータンパク質において提唱されている「ATPase活性におけるサブユニット問触媒モデル」を証明するものであると思われる。さらに今までは報告の無いシステイン残基も、ATPase活性に必須であることを見いだした。
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Research Products
(4 results)