2005 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansにおける高次神経機能制御のメカニズム
Project/Area Number |
16570150
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石原 健 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (10249948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 誠人 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (60243888)
藤原 学 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (70359933)
広津 崇亮 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (70404035)
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Keywords | 線虫 / 神経 / 情報処理 / 遺伝学 / カルシウムイオン |
Research Abstract |
動物は、外界から様々な情報を感覚ニューロンで受容し、中枢神経系で適切に処理している。我々は、このような情報処理のメカニズムを、線虫C.elegansをモデルとして用いて解析している。C.elegansは、神経回路の全構造が明らかになっているほか、行動の測定や遺伝学的解析が適用できるなど、神経回路における情報処理について、分子・細胞・回路・行動のそれぞれを結びつけて解析するのに適している。 本年度は、線虫の神経機能を明らかにするため、生きている個体での個々のニューロン内のCa^<2+>濃度変化を測定する系を確立した。Ca^<2+>感受性蛍光プローブcameleonやGCaMPを、感覚ニューロンで発現させたところ、刺激に応じて200%を越える蛍光強度比の変化を観察することに成功した。これは、線虫におけるこれまでの報告約20%に比べ、はるかに高い。このことは、この蛍光プローブを介在ニューロンに発現させることによって、情報処理そのものをライブイメージングすることが可能になることを示唆している。 また、線虫C.elegansにおいて情報処理の制御に異常を示す変異体の探索もすすめている。本年度は、まず、ショウジョウバエのトランスポゾンMOS1を利用した突然変異誘起の効率を、詳細な条件検討により、5倍以上に効率化することに成功した。この手法を用いて、忌避物質銅イオンと誘引性匂い物質ジアセチルとの感覚情報の統合に異常を持つ変異体の探索をすすめている。これまでのスクリーニングの結果、1株の候補変異体が得られている。今後、我々が既に同定し解析を進めている、hen-1,scd-2遺伝子との関係を明らかにすることなどにより、感覚情報処理の分子メカニズムが明らかになることが期待される。
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