2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しいシグナル制御因子としての核内膜蛋白質の作用機序の解析
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16570152
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
長田 真一 秋田大学, 大学院・医学研究科, COE主任研究員 (00244484)
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Keywords | 核膜蛋白 / シグナル伝達 / TGF-β / 血管形成 / ジーントラップマウス / 発生 / 国際情報交換(アメリカ合衆国) |
Research Abstract |
我々はアフリカツメガエルの系を用いて、核膜内膜蛋白質の一つMAN1が、骨形成因子(BMP)経路を抑制するシグナル制御因子として働くことを明らかにしてきた。本年度は、MAN1のin vivoでの機能をさらに詳しく認べるために、ジーントラップ法によりMAN1遺伝子が破壊された変異マウスの解析を主に行った。まず、ヘテロ変異マウスでX-gal染色を行ってMAN1の発生過程における発現領域を調べ、中枢神経系、鰓弓、膵臟原基、心球などに強く発現していることを見出した。ヒトではMAN1のハプロ不全によりBuschke-Ollendorff症候群(BOS)が起こるが、ヘテロ変異マウスは正常に発育し、BOSで見られる骨斑紋症、結合織母斑といった異常は見つからなかった.一方、ホモ変異胚は胎生10.5日前後で致死となった。ホモ変異胚は、野生型胚に比べ著しい発育不全を示したものの、全胚in situハイブリダイゼーション法により種々のマーカー遺伝子の発現を検討した結果、体軸の形成、神経組織のパターン形成には顕著な異常は認められなかった。ところが、胎生10.5日のホモ変異胚の卵黄嚢には、原始血管網の形成は見られたが、成熟した血管の形成は認められず、血管新生過程の異常が胎生致死の主たる原因であると考えられた(投稿準備中)。これと平行して、組織特異的MAN1欠損マウスの作製を開始し、ベクターの作製とES細胞のスクリーニングのための条件検討まで終了した。また、MAN1結合蛋白のスクリーニングを行い、複数の結合蛋白の候補を得た。核膜蛋白(核膜孔複合体蛋白を除く)の数は、現在数十種類に上ると考えられているが、これらのうち核膜内膜に存在し、特徴的なドメインを持つ数種類について、その細胞内での機能を解析するために発現プラスミドを作製した。
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