2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウス受精卵で転写を伴わないポリA鎖伸長を示す母性RNA群の多様性と生物学的意義
Project/Area Number |
16570181
|
Research Institution | Depart.of Organ Regeneration, Graduate School of Med, Shinshu Univ. |
Principal Investigator |
桜井 敬之 信州大学, 医学研究科, 講師 (80317825)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
|
Keywords | マウス / 受精卵 / 初期胚 / 遺伝子発現 / 母性RNA / ポリA鎖 / 転写 / 翻訳 |
Research Abstract |
マウス受精卵期で生じる母性mRNAの非de novoポリA鎖伸現象の解明を目指すため、マウス受精卵においてポリA鎖を伸長させる母性RNA群を濃縮したcDNA Library、CPF7を独自に考案し、その作製に成功した。同cDNA Libraryのプラークハイブリ解析および約1000個の単離クローンの解析から、マウス受精卵においてポリA鎖を伸長させることが、現在、報告されている全ての遺伝子が含まれていることを示すと共に、マウス受精卵期における母性mRNAのポリA鎖伸縮現象は特定の機能を持つ母性転写物に限定されず、多様な種類の母性RNAで生じる現象であることを明らかとした。優先的に実施された30遺伝子のEmbryonic Northern Blot解析から、単離された遺伝子クローンがFully grown oocyte期から2cell期においてポリA鎖伸縮を起こしていることを実際に確認した。これら遺伝子がポリA鎖伸縮を生じることは全て未報告のものであった。驚くべき事にマウス受精卵期の母性mRNAは単純にポリA鎖を伸長しているのではなく、その伸縮パターンは多様性を持ち、母性RNA種類特異的、時期特異的に伸短を発動していることを初めて見出した。現時点で、大まかに3種類(TypeI,II,III)、7亜種類にパターン分類できることを示した。つまり、マウスDormant母性mRNAは、このような多様なポリA鎖伸縮および時期特異的分解によりその安定性や翻訳調節を行っていると思われる。 この多様な母性mRNAの動態を生じる機構に関しては、卵母細胞において解析が進んでいるcytoplasmic polyadenylation element経路を介する制御機構下にあると思われるType IIの母性RNA群を除けば、受精卵期における時期特異的なポリA鎖伸縮現象には未知の制御機構がかかわっていることが示唆された。 今回明らかとしたポリA鎖伸縮パターンを示す遺伝子クローンは、各種類でそれぞれ複数個以上得られている。今後、同伸縮パターンを持つクローン同士に注目し、それらを詳細に研究することから、母性RNAの動態、時期特異的翻訳制御、時期特異的分解機構に関する重要な知見が得られるであろうと期待された。
|
Research Products
(3 results)