2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570191
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
清水 裕 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (60178986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 敏孝 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助教授 (60000262)
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Keywords | 自律神経系 / 交感神経系 / 副交感神経系 / 刺胞動物 / 軟体動物 / 循環機能 / 消化機能 / 進化的起源 |
Research Abstract |
我々ヒトをはじめとするほ乳類の諸生理機能は、脊椎に沿って分布する自律神経系により制御される。自律神経系は交感神経系と副交感神経系からできている。その制御様式は、交感神経系がより興奮状態にあり、循環機能が高く消化機能が低い"fight or flight"と呼ばれる状態と、副交感神経系がより興奮状態にあり、循環機能が低く消化機能が高い"rest and digest"と呼ばれる状態の間を行き来する事で行われる。脊椎動物についてはこのシステム、メカニズムがはたらいていることはわかっているが、では、無脊椎動物に関してはどうであるか明確な答えは全く得られていない。そのような目的を持った研究が行われてこなかったからである。我々は、ヒドラや他の無脊椎動物で"fight or flight"状態、及び、"rest and digest'状態が実現していることを見出し、その神経による制御機構の解明を試みるべく研究をスタートさせた。その結果、理論的な支柱である上記2状態の起源についての論文を投稿した。またこれらの状態を直接支配する原因物質の解明はまだ継続中ながら、間接的にそれらに影響すると考えられる神経ペプチドを見出すなどの成果を得て論文として発表した。一方で、生理機能の場であるボディープランとほ乳類のボディープランについて従来の常識をつくがえす概念を提示する論文を投稿した。二胚葉の袋状の消化管という非常に単純なシステムの中で複雑な生理現象を制御する事が可能な理由の一つは、神経系ばかりでなく筋組織に緊密な協調的運動機構が存在することである。しかし、外胚葉と内胚葉間は細胞外マトリックスが介在するためにどのようにして運動の協調性を確保するか十分に明らかではなかった。我々はこの問題を解決すべく、ヒドラの細胞外マトリックスを単離し、その微細構造を電子顕微鏡レベルで観察することに初めて成功した。その結果、I型コラーゲン繊維の隙間を通した多数の両胚葉間の直接的コンタクトを見出した。その結果を論文として投稿した。
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Research Products
(3 results)