2005 Fiscal Year Annual Research Report
イネ穎果の登熟優先度決定に関する遺伝的特性について
Project/Area Number |
16580008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 貞二 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70155844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雄佐 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80122919)
中嶋 孝幸 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80241553)
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Keywords | イネ / 登熟優先度 / 穎果 / 弱勢 / source / sink比 / 初期成長 / アブシジン酸 / サイトカイニン |
Research Abstract |
低source/sink比下で弱勢な穎果の初期成長が遅延し易く,登熟が悪化し易い「ササニシキ」と「コシヒカリ」,遅延しにくく,登熟が悪化しにくい「アキニシキ」と「92133」(中国江蘇省の多収系統),すなわち登熟優先度決定に関する遺伝的特性が異なる2品種群を用い,登熟期に50%の遮光を行い,初期成長期の穎果におけるアブシジン酸(ABA),サイトカイニン(zeatin, zeatin riboside)および遊離糖レベルを比較した.遮光により,「ササニシキ」と「コシヒカリ」の弱勢な穎果の初期成長は遅延し,発達初期段階におけるABAレベルが強勢な穎果よりも低くなった.一方,「アキニシキ」と「92133」では弱勢な穎果の初期成長は遅延せず,発達初期段階におけるABAレベルは強勢な穎果と同程度であった.強勢な穎果のABAレベルは全ての品種で遮光により変化しなかった.穎果のサイトカイニンまたは糖レベルとその成長の関係は見られなかった.外生ABAは弱勢な穎果の初期成長や登熟を促進することが明らかにされていることから,低source/sink比下における弱勢な穎果の初期生長遅延の品種間差はABAレベルの違いにより生じていることが示された.なお,ABAレベルの絶対値で穎果の初期成長の品種間差を説明することはできなかったことから,品種によってABA感受性が異なる可能性が示された. 中国江蘇省の最近の多収品種を観察した結果,低source/sink比下で弱勢な穎果の初期成長が遅延しにくい品種は見つけ出すことができなかった.おそらく,食味や耐病性重視の育種を行っているためと考えられた.弱勢な穎果が遅延しにくい品種は貴重な遺伝資源となり得るために今後も探索を続ける予定である.
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Research Products
(1 results)