2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブンタンにおける‘無核紀州'由来の雌性不稔性発現に関する組織学および細胞学的解明
Project/Area Number |
16580020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北島 宣 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70135549)
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Keywords | カンキツ / 無核性 / ブンタン / ‘無核紀州' / 雌性不稔性 / 形態形成 / 染色体 / 植物生長調節物質 |
Research Abstract |
‘平紀州'、‘無核紀州'、‘谷川文旦'、‘サザンイエロー'およびブンタンBu1-7と‘サザンイエロー'との交雑実生BSY系統の種子形成を調査した。‘無核紀州',‘サザンイエロー',BSY10,18,21は完全種子,不完全種子ともに形成が認められず無核であったが,種皮が未発達で,中央部に膨らみのある種子長が3mm程度の種子が特異的に観察され,これをAタイプ種子(仮称)とした.胚のう異常率や受精率は有核品種・系統と無核品種・系統で違いがなかった。Aタイプ種子は受粉10週間後から胚珠様種子と明確に区別できた。有核品種・系統では完全種子,不完全種子,胚珠様種子が認められ,受粉10週間後から完全種子は種子長が急速に増加した.胚珠様種子はほとんどが不受精であり,受粉10週間後には胚のうが退化していたが,Aタイプ種子はいずれも受精しており,受粉14週間後以降もほとんどが接合子や前胚で発育が停止していた.前胚は,有核品種・系統では受粉6週間後から,無核品種・系統では受粉8週間後からみられ,有核品種・系統(完全種子)で受粉10〜12週間後から球状胚がみられた.これらのことから,Aタイプ種子の形成は‘無核紀州'由来の雌性不稔性の発現と密接に関係しており,胚の発育停止時期は受粉10週間後頃であると考えられ、胚の発育停止は種子親の遺伝子型に起因している可能性が示唆された.染色体の調査では、Bio標識(緑)‘無核紀州'DNAとDig標識(赤)‘谷川文旦'DNAをプローブとしたGISHより、雌性不稔性遺伝子は染色体組み換えが生じていないと仮定すると、D1(緑)、D1(赤)またはE型染色体に座乗すると推定された。また、‘サザンイエロー'の染色体対合様式は1AC+3DD+5EEまたは1AD+1CD+2DD+5EEと推定された。‘平紀州'と‘無核紀州'に受粉後4・5週間、8・9週間にNAA1、10ppm、フルメット10、100ppmおよびGA_3 50ppmを果実に塗布したが、種子形成に影響は認められなかった。
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