2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブンタンにおける‘無核紀州'由来の雌性不稔性発現に関する組織学および細胞学的解明
Project/Area Number |
16580020
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北島 宣 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70135549)
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Keywords | カンキツ / 無核性発現 / ‘無核紀州' / ジベレリン / 温度 / 胚発育 |
Research Abstract |
‘平紀州'と‘無核紀州'を用い、受粉6、7、8、9週間後にジベレリン(GA3)およびジベレリン合成阻害剤のウニコナゾール処理を行い、‘無核紀州'由来の品種・系統でしか現れないAタイプ種子形成に及ぼす影響を調査した。‘平紀州'における受粉6-10週間後および7-10週間後のGA3処理で,9%および20%の種子がAタイプ種子となった.しかし、ウニコナゾール処理では‘無核紀州'におけるAタイプ種子形成は抑制されず、‘平紀州'における受粉9週間後処理ではAタイプ種子が10%形成された。‘平紀州'においてAタイプ種子が形成された果実はいずれも小さかった。‘平紀州'において、GA3処理により形成されたAタイプ種子の胚の発育は抑制されたが、完全種子ではGA3処理により胚の発育が促進された。‘無核紀州'ではGA3処理により胚の発育が抑制される傾向がみられた。一方、‘無核紀州'後代の無核品種‘サザンイエロー'について、加温ハウス植栽樹と露地植栽樹を用い、温度環境がAタイプ種子形成に及ぼす影響を調査した。加温ハウス樹は露地樹に比べてAタイプ種子の胚の発育が顕著に促進され、露地樹ではほとんどが接合子と前胚であったのに対し、加温ハウス樹では受粉18週間後に約20%が子葉型胚であり、Aタイプ種子はわずかに発育しており、種皮の硬化が認められた。子房培養では、受粉8週間後以降でコンタミの発生が急増したため、滅菌方法と外植体の調整方法をさらに検討する必要がある。これらのことから,‘無核紀州'由来の無核性発現を決定するAタイプ種子形成には、GA3が関与しているものの直接的には支配されていないと考えられ、Aタイプ種子の胚の発育や種皮の硬化は果実発育期の高温により促進されることが明らかとなった。
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