2004 Fiscal Year Annual Research Report
棚田畦畔植生に対する立地および管理形態の影響および保全管理に関する研究
Project/Area Number |
16580027
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
葉山 嘉一 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (00139049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝野 武彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20060014)
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Keywords | 農村緑地 / 文化的景観 / 棚田 / 畦畔植生 / 植生管理 / 棚田管理 / 棚田オーナー制度 / 在来野生草本植物 |
Research Abstract |
本研究は農村景観として保全の必要性が注目される棚田を対象として、生物多様性の実態と環境構造の関係および、棚田を維持する農業者や市民の関わりについて明らかにし、棚田保全に対する技術・計画指針を提示することを目的としている。今年度は研究計画に沿って現地調査を実施し、以下の結果を得たので報告する (1)畦畔法面における植物群落の把握 調査は大山千枚田においてオーナー制導入水田A〜E区(計118枚)および非導入水田F区(水田24枚)を含む大山千枚田の北西部分(約2.4ha)でおこなった。方法は、まず年間の草刈り作業状況(管理主体、作業時期・回数、作業人数・時間)が植生の種組成に与える影響を把握するため、2004年度5〜12月(総計9回)の現地踏査およびヒアリングを行った。また、2004年度春季(5月上旬)、夏季(8月中旬)、秋季(10月初旬)に、畦畔法面植生に対し、コドラード法による植生調査を行った。結果、当地における畦畔植生の管理回数は全区4〜5回であった。各季95地点の植生調査によって、合計で210種の植物が確認できた。帰化率は16.1%であった。全区の出現種の類似度は70〜80%と高く、オーナー制度の有無による種組成の変化はみられなかった。しかし、当地の畦畔法面は、畦畔植生の典型型であるチガヤーススキ群落であり、その中にカントウタンポポ・タツナミソウ・ウツボクサ・スミレ類などといった草原性〜林縁性植物127種、湿生植物種5種、木本種9種、また千葉県版RDBで一般保護生物(D)に指定される植物2種など多様な種組成を形成していることがわかった。 (2)畦畔草地面積の算出 棚田畦畔草地の面積を定量化するため、対象範囲内の全ての水田および草地面積を実測した。その結果、水田面積は0.96ha、畦畔法面部は1.04ha、畦畔平坦部は0.55ha、その他農道などの草地は0.13haであった。合計で草地面積は1.72ha(64.2%)算出され、棚田の草地面積が多く確保されていた。 (3)アンケート調査 現在本年度の調査結果をもとに、現地管理者と植生管理手法確立について検討をおこなっている。 ※本調査の一部は、「2004年度農村計画学会秋季大会」にて発表をおこなっている。
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Research Products
(1 results)