2005 Fiscal Year Annual Research Report
棚田畦畔植生に対する立地および管理形態の影響および保全管理に関する研究
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16580027
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
葉山 嘉一 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00139049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝野 武彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20060014)
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Keywords | 棚田 / 畦畔植生 / 植生管理 / 野生草本植物保全 / 立地環境 |
Research Abstract |
1.調査地である大山千枚田の棚田畦畔植生を調査した結果、棚田の畦畔には草地の典型的な群落構成種であるチガヤを中心として、希少種2種および湿性、林縁性、樹林性といった多様な生育立地を適地とした草本植物がみられた。また平坦地水田と比較して帰化率は低く、既往研究との比較からも棚田オーナー制度下にあっても在来種を多く含む草地が棚田において確保できることが明らかとなった。 また、棚田オーナー制の有無による畦畔植生への影響については、制度が導入されていない地元農家によって管理される伝統的な棚田との畦畔草刈り回数に違いはあったものの、出現種の類似度は高く、種組成に大きな変化はなかった。 2.棚田畦畔法面部および平坦部において植生調査をした結果、平坦部において出現種が少なかったものの、種組成については法面部ではチガヤ群落が、平坦部では地衣または被覆する植物で優占されていることで区分された。また、種数は少ないが、平坦部でしか確認されなかった種があり、畦畔の平坦部・法面部といった管理・利用の異なる草地があることで、棚田が多様な植物種の生育立地となっていることが示唆された。 3.2004年初春および収穫後の10月以降から2005年初春までの期間、大山千枚田の畦畔法面部に生育する希少種コケリンドウについて、当地における分布状況および草刈り管理と生育・開花の関係について調査した。結果、分布状況から当地が本種の生育地として重要であり、分布域内31箇所での調査からは,例年の棚田オーナー制度下独特ともいえる秋収穫後と初春田植え前の未耕作期に草刈りが、本種の生育に適した草地を生み出していることがわかった。未耕作期の管理設定が棚田保全地では計画・実施でき、特に秋・初春季の草刈り行為によっては、春季開花植物種(希少種を含む)の保全に繋がる管理が棚田保全地では可能であることを考察した。 4.科研費において得た植生調査データおよび知見を、現地管理団体との協働において棚田の自然啓発を目的としたイベント運営へ活用し、データの有用性を高めている。
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Research Products
(2 results)