2006 Fiscal Year Annual Research Report
棚田畦畔植生に対する立地および管理形態の影響および保全管理に関する研究
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16580027
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
葉山 嘉一 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00139049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝野 武彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20060014)
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Keywords | 棚田 / 畦畔植生 / 野生草本 / 棚田保全活動 / 環境学習 |
Research Abstract |
平成18年度は以下の棚田植生動態および棚田保全・活用手法に関する1)〜3)の研究をおこなった。 1)「棚田の物理的構造および立地環境が畦畔植生に与える影響(対象地:長野県上田市「稲倉の棚田」)」 土披畦畔法面部で出現種数が多かったが、石積畦畔では、出現種数は少なかったものの土坡畦畔には見れらない傾向としてシダ類および多くの木本種の出現が特徴であった。つまり土坡・石積といった物理的構造が異なる畦畔を維持することで、全体的には棚田の畦畔植生の種多様性は高められることが考えられ、景観や文化的な側面だけなく、土坡・石積の混在する棚田も保全上価値が高いことが考えられた。 2)「棚田保全地における畦畔植生の経年的変化と管理形態との関係(対象地:長野県千曲市「姨捨の棚田」)」 1999年実施の既往調査との比較から出現種数に大きな変化はなく、セーレンセン類似度でも86.7%とオーナー制度または名勝地化などの棚田保全活動によって水田耕作が継続されることで、草地植生の保全が可能であることが示唆された。希少種スズサイコ(夏季開花植物)の生残もそれを裏付けた。 3)「棚田における環境学習および自然観察イベント等の活動実態について(対象地:長野県全域)」 長野県の17地区の保全地棚田においてアンケート調査をおこなった結果、長野県では既往研究より多くの10棚田で対象事例がおこなわれていることがわかり、実施対象では教育機関のみならず、高齢者を対象とした福祉事業や生涯学習として田植えがおこなわれていた。さらに、実施者ではNPOを介した企業による実施などがみられ、環境指向の企業による社会貢献の宣伝・会社のイメージを向上させる場としても棚田が活用されている事が把握された。これらから、棚田でのいわゆる水田耕作体験は、自然環境教育に留まらない目的性の高い事業として実施されていることが考えられた。活動の成立要因として考えられることとしては、管理体制や施設整備が挙げられた。
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Research Products
(2 results)