2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化および化較ゲノム学的手法による植物病原細菌の遺伝的多様性の解明
Project/Area Number |
16580032
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
澤田 宏之 独立行政法人農業環境技術研究所, 企画調整部, 主任研究官 (40354055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 健一 農業, 生物系特定産業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター・特産作物部, 部長 (40150510)
吉田 隆延 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物環境安全部, 主任研究官 (40355334)
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Keywords | Agrobacterium / Rhizobium / 分子進化 / 系統樹 / 環境微生物 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
1)指標候補の適性評価:系統学的な情報量、多重置換の程度、GC%のばらつきに関しては、分子進化学的解析の指標の候補とした6遺伝子(atpD、dnaK、eno、pyrG、recAおよびrpoD)はいずれも指標としての適性を有していた。一方、各遺伝子系統樹の樹形を比較したところ、atpDにおいて一部の菌種の系統的位置が他の遺伝子系統樹とは異なっていることが認められ、水平移動等により起源の異なる情報が混入している可能性が否定できないことから、指標として採用すべきではないと判断した。 2)連結データを用いた解析:atpD以外の5つの配列を連結したデータに対して最適な進化モデルを探索したところ、AICと尤度比検定のいずれにおいても同一のモデル(GTR+I+G)とパラメーターが支持された。得られた最適条件のもとで、距離法、最大節約法、最尤法およびベイズ法に基づく9つの作成法を用いて系統樹を構築した。 3)系統樹の信頼性評価:得られた9つの系統樹の樹形を比較して信頼性の評価を行ったところ、ベイズ法による系統樹がいずれの尤度差検定法(SH-test, KH-test)でも最尤となり、Templeton testでも信頼性が高いことが示された。一方、SH-testでは4つ、KH-testでは7つ、Templeton testでは5つの系統樹が棄却された。ここでは、もっとも慎重な判断を下したSH-testの結果を採用することにした。すなわち、最尤となったベイズ系統樹およびそれと有意差の認められなかった最尤法、近隣結合法、最大節約法、最小二乗法による4つの系統樹のすべてにおいて共通して支持された樹形部分のみを以下の考察の対象とした。 4)本群菌における遺伝的多様性:科レベルのまとまりに関しては、5つの系統樹のいずれにおいても高い単系統性が認められた。また、AgrobacteriumとRhizobiumの両属のメンバーは、Sinorhizobium、Ensifer、Blastobacter属細菌や環境汚染物質分解菌とともにきわめて単系統性の高いクラスターを形成した。そのクラスター中でAgrobacterium/Rhizobium属のメンバーは不規則に混在し、属ごとにまとまるような傾向はまったく認められなかった。
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Research Products
(5 results)