2006 Fiscal Year Annual Research Report
性決定遺伝子の機能進化:鱗翅目昆虫に特異的な二型精子の分化機構の解明
Project/Area Number |
16580038
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新美 輝幸 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助手 (00293712)
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Keywords | カイコ / 性決定遺伝子 / 二型精子 / 鱗翅目昆虫 / 進化 / Sex-lethal |
Research Abstract |
Sex-lethalの体細胞性決定のマスタースイッチ遺伝子としての機能は、ショウジョウバエ属に限定され、他の昆虫における機能は全く不明である。本研究は、申請者がこれまでに得た知見を基に、形質転換体や遺伝子の機能阻害に有効なRNAi法を用いた遺伝子の機能解析を行うことにより、Bombyx Sex-lethal(BmSxl)の精子形成過程における役割を明らかにすることを通して、有核精子と無核精子の分化機構を解明することを目的とする。 昨年度の研究においてトランスジェニック・カイコの作出法の確立に成功したため、本年度はBmSxlの機能解析を行うシステムとして、テトラサイクリンOFFシステムに着目した。このシステムの有効性をまずトランスジェニック・ショウジョウバエを用いて、テトラサイクリン制御性転写活性化因子(tTA)の転写活性化の阻害に有効なテトラサイクリンおよびドキシサイクリンの有効濃度を決定した。つぎに、生殖細胞特異的な発現プロモーターの候補として、カイコnanos(Bm-nos)遺伝子に着目した。Bm-nos cDNAにはいくつかの種類がクローニングされているが、胚発生期において生殖細胞での特異性が最も高いと考えられるBm-nosについて、蛹における遺伝子発現の組織特異性をRT-PCR法を用いて検討した。その結果、予想に反し、脂肪体、絹糸腺、中腸、卵巣、精巣、その他の組織において、発現量に差異が認められなかった。 さらに、独立した領域において数カ所のプライマーを設計し、種々の条件検討を行ったが、生殖細胞特異的な発現は認められなかった。今後、生殖細胞特異的な発現に有効な遺伝子を検索し、トランスジェニック・カイコを用いたBmsxlの機能解析を行い、本研究で見いだした二型精子形成への機能を明らかにする予定である。
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Research Products
(3 results)