2005 Fiscal Year Annual Research Report
花粉媒介昆虫としての在来種ニホンミツバチ優良系統種の利用に関する研究
Project/Area Number |
16580040
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
吉田 忠晴 玉川大学, 学術研究所, 教授 (80138601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正己 玉川大学, 農学部, 教授 (40096061)
脇 孝一 玉川大学, 農学部, 助教授 (40102024)
水野 宗衛 玉川大学, 農学部, 助教授 (10166027)
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Keywords | ニホンミツバチ / セイヨウミツバチ / 花粉媒介 / マンゴー / パッションフルーツ / ブルーベリー / 選抜育種 |
Research Abstract |
ハウス栽培マンゴー(品種アーウィン)にニホンミツバチ選抜群を導入した.対照区としてセイヨウミツバチとクロマルハナバチを用いた.ニホンミツバチ区は1花房あたりの平均採餌時間は65秒とセイヨウミツバチ(125秒)より短かったが,平均訪花頭数/日(5日間の6:00〜18:00)は,1030頭とセイヨウミツバチ(630頭)より多い結果が認められた.また有種子果率はニホンミツバチ区で72%と高い値を示した.走査型電子顕微鏡による花粉および柱頭の観察では,柱頭の直径は約150μmであったが,受粉可能な柱頭中心部の直径は約74μmと狭いことが観察された.花粉の直径は約25μmであるため,受粉できる花粉数は10個前後と思われた.予備調査によって柱頭への花粉の付着は,ニホンミツバチ区が他の2種より良好であったことから,訪花後の柱頭への花粉付着率や花粉管伸長について調査を進めることにした. ハウス栽培パッションフルーツ(品種サマークイーン)にニホンミツバチ選抜群を導入した.結果率はニホンミツバチ区36.4%,人工受粉区40.4%と同程度の結果が得られた.パッションフルーツは開花直後,3本の柱頭が直立した状態であるが,2〜3時間後に柱頭が葯の方に湾曲する接近型,さらに接触型となる.そこで効果的な受粉のために,接近型の時間帯に働き蜂を出巣させる自動巣門開閉装置を考案した.しかし開閉装置の巣門部分の位置や蜂群の状態によって働き蜂の出巣に影響が見られたため,改良を加えた新自動巣門開閉装置を考案し試験に備えることにした. ブルーベリーについては,ニホンミツバチ他家受粉区は他の区より種子数が多く,果実重が高く,また糖酸比の高い果実が得られた.これはセイヨウミツバチに比べ,花房での採餌時間が長く,晴天時は1日の長い時間にわたって出巣し,雨天,曇天にも活動していたことから確実に受粉が行われていたことが示唆された.
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