2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウォルバキア細菌の機能解析と人為感染昆虫の不和合性評価
Project/Area Number |
16580041
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
野田 博明 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫適応遺伝研究グループ, チーム長 (40343991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 栄人 自治医科大学, 医学部, 講師 (10296121)
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Keywords | Wolbachia / ウォルバキア / 細胞質不和合成 / マイクロアレイ / 抗菌タンパク質 / ウンカ / カイコ / 感染率 |
Research Abstract |
本研究では、ウォルバキアの機能を解明するために、以下の点について検討した。 1.これまでにヒメトビウンカのウォルバキアをトビイロウンカに接種することに成功しており、このウォルバキア感染トビイロウンカ個体群を維持してきた。ヒメトビウンカの細胞質不和合性が、ほぼ100%の雌雄対で見られるのに対し、トビイロウンカでは当初50-70%であった。この個体群を2年以上にわたり維持し、その後の感染率を調べたところ10-20%程度になっていた。感染は維持されているものの、感染率が低くなっており、トビイロウンカ体内では次世代伝播のレベルが低いことが判明した。感染個体を選抜しても感染率の上昇は少なく、感染維持に関する宿主との相互作用の解明が今後の課題である。 2.これまで、カイコ細胞にヒメトビウンカのウォルバキアを感染させ、カイコcDNAマイクロアレイを用いて、ウォルバキア感染によって発現量に影響を受ける宿主細胞の遺伝子を調査してきた。これまで感染と非感染とで発現量に顕著な差のある遺伝子は見つかっていない。今回、カイコのオリゴアレイ(アジレント22Kアレイ)を使い、さらに詳細に検討した。その結果、やはりウォルバキア感染は宿主細胞の遺伝子発現にほとんど影響しないことが判明した。ウォルバキアの細胞成分を培養液中に入れた場合も同様に影響を与えなかった。同じ実験系において、大腸菌は宿主細胞の抗菌タンパク質遺伝子の発現を誘導することから、ウォルバキアが宿主の抗菌タンパク質遺伝子の発現を誘導しないことは明らかである。これは、ウォルバキア細菌の細胞壁成分が宿主の免疫系に認識されないためと推定される。
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Research Products
(3 results)