2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580042
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中原 治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10253519)
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Keywords | 物質循環 / 農耕地生態系 / 窒素循環 / 窒素施肥 / 硝酸溶脱 / 富栄養化 |
Research Abstract |
通常、耕地では作物生産の2倍以上の窒素肥料および堆肥が投入され、養分吸収を受けなかった窒素成分(余剰窒素)は、温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)や水圏の富栄養化を担う硝酸イオン(NO3)として環境中に放出される。そこで、生産性を損なわない程度に余剰窒素量を低下させる事、および、集水域内の余剰窒素の浄化機能(脱窒による)を最大限に維持する事が、持続的農業活動の最重要課題の一つとなっている。 本研究は、集水域内の脱窒反応をモデル化し、平水時の河川のNO3濃度の実測値から脱窒反応の定量的評価を行う事を最終的な目標としている。 本モデルは2つの要素から構成される。1つは、耕地のを辿った河川への距離と標高差をもとに、最大勾配ルートに沿った地下水層中での脱窒反応の進行を計算するサブモデルである。これはHYDROLOGY MODELING機能を用いることで計算可能となるが、今年度はこの計算の自動化が大きな課題であった。現在、ArcObjectを用いたプログラミングの設計が進行途中の段階にある。 もう一つのサブプログラムは、定常的に耕地から河川に供給される、分配の効率を計算する部分で、これは流速に比例すると仮定している。NO3の実測値の解析から、耕地から河川へのNO3の輸送効率を河川の平均勾配の逆数に比例する事が判明した。しかし現在、この理論的根拠を欠いたままでいるのが最大の課題で、次年度の最大の目標となっている。解放水路の平均流速に関する水理学の最も基本的なマニングの式によると、この部分が河床の形態に依存する粗度係数と河川勾配の平方根の逆数に比例する。しかし解析結果からは河川勾配の1乗の逆数に比例する結果が得られ、この矛盾の解明が早急に必要である。
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