2005 Fiscal Year Annual Research Report
作物の難溶性成分溶解機構解明と輪作・混作への活用による環境保全型作付け体系の確立
Project/Area Number |
16580045
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
松本 真悟 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (00346371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 政夫 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (80185339)
門脇 正行 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (00379695)
|
Keywords | 有機態窒素 / クエン酸 / シュウ酸 / 輪作 / 混作 / 無機化 |
Research Abstract |
土壌に施用されたあらゆる種類の有機物は分子量8000程度の有機態窒素(PEON)へと変換され,土壌コロイドの鉄やアルミニウムと吸着し,比較的溶けにくい形態で存在している。有機物施用の効果の高い作物はこのPEONを土壌から遊離する機構を持つと考えられる。そこで,これらの作物の有機態窒素吸収利用機構を解明し,輪作・混作への応用による施肥量の削減および有機物利用促進への可能性を検討する. 種々の植物の根分泌物中に認められる数種類の有機酸による土壌中の有機態窒素の溶解能力を検討した.供試した有機酸は有機態窒素の抽出能力により2つのグループに分けることができた.すなわち,コハク酸およびグルタル酸では溶液濃度に関わらず,有機態窒素はほとんど抽出されなかったのに対し,シュウ酸,マロン酸,酒石酸,クエン酸およびリンゴ酸は溶液濃度の上昇とともに抽出される有機態窒素量が増加した.これら5種類の有機酸によって抽出される有機態窒素量は抽出液中のアルミニウムおよび鉄の合計量と極めて高い相関が認められた.このため,有機酸による土壌有機態窒素の抽出能力はアルミニウムおよび鉄との安定な錯体を形成する有機酸の分子構造によると推察された.さらに,供試した有機酸の中で最も多くの有機態窒素を抽出したクエン酸による有機態窒素の抽出量と土壌肥沃度の推定に広く用いられている中性リン酸緩衝液による抽出有機態窒素量および培養法による無機化窒素量の間にはそれぞれ極めて高い相関が認められた.すなわち,有機酸によって抽出される有機態窒素は土壌の可給態窒素の重要な構成成分であると考えられた.さらに,本研究の結果から,根分泌物中の有機酸が根圏における有機態窒素の無機化に重要な役割を果たしていることが示唆された.
|
Research Products
(4 results)