2005 Fiscal Year Annual Research Report
リグニンの有用物質変換に必要なプロトカテク酸メタ開裂系遺伝子群の転写制御
Project/Area Number |
16580055
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
政井 英司 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20272867)
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Keywords | リグニン由来化合物 / プロトカテク酸4,5-開裂経路 / Sphingomonas / 転写制御 / LysR型転写制御因子 |
Research Abstract |
Sphingomonas paucimobilis SYK-6株のプロトカテク酸(PCA)4,5-開裂経路は、リグニン由来化合物代謝系の下流経路として重要な役割をもつ。本経路を構成する遺伝子群の転写調節機構の解明は、芳香族化合物の主要経路の全体像を明らかにするだけでなく、リグニンからの有用代謝中間体の生産において重要な情報を提供するものと考えられる。 PCA 4,5-開裂系遺伝子群は、ligJABオペロン、ligK-orf1-lig1-lsdAオペロンとモノシストロニックなligCおよびligRの4つの転写単位から構成されることが示唆されている。昨年度は各転写単位のプロモーター領域を単離し、それらの転写調節について調べたが、プロモーター活性の測定系に不安定な面が見られたため、今年度は野生株および各種変異株をPCAの存在・非存在下で生育させ、各PCA 4,5-開裂系酵素遺伝子から転写されるmRNAを定量、比較することで以下の結果を得た。1)SYK-6株においてすべての酵素遺伝子の転写量がPCAの存在下で顕著に増加した。2)LysR型転写制御因子と相同性を示すligRの破壊株では、すべての酵素遺伝子で転写量の増加が見られなかった。3)PCA 4,5-dioxygenase遺伝子の破壊株においてPCAの存在下ですべての酵素遺伝子の転写量の増加が見られた。さらに各遺伝子間のRT-PCRの追試により、ligB-ligC間での増幅が認められた。 以上の結果より、PCA 4,5-開裂系遺伝子群は、ligJABCオペロン、ligK-orf1-lig1-lsdAオペロンとligRから構成され、ligJオペロンとligKオペロンの転写がPCAの存在下、LigRによって正に調節されていることが明らかとなった。
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