2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580064
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
井上 明 東洋大学, 生命科学部, 教授 (80307785)
|
Keywords | 好アルカリ性菌 / 羽毛分解 / アルカリケラチナーゼ / Bacillus pseudofirmus |
Research Abstract |
通常のプロテアーゼでは分解されにくい難分解性物質の羽毛を分解し、かつアルカリ側で活性を有する新規なアルカリ酵素の開発を目的に、羽毛分解酵素生産菌のスクリーニングを行った。鶏羽毛の直接分解を指標にした結果、土壌サンプルからアルカリケラチナーゼ酵素を生産する好アルカリ性菌FA30-01株を分離した。FA30-01株は、30℃、pH10.5の振とう培養条件下で鶏羽毛を約3日間で微細化した。羊毛、毛髪は分解しなかった。本菌の16SrDNA系統解析、生理生化学的、形態学的解析を行なった結果、FA30-01株は、Bacillus pseudofirmusに帰属する菌株と同定された。 FA30-01株生産羽毛分解酵素は、硫安沈殿、DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーにより精製され、本酵素の分子量は、27.5kDa、等電点はpI5.9であった。また本酵素は、アゾケラチンに対してpH6〜pH11.5、30〜80℃の広い範囲でケラチナーゼ活性を示し、特にpH8.9〜10.3、60℃で至適活性を有した。さらに本酵素は、Ca^<2+>無添加条件で80℃、1時間加温後も残存活性を15%も維持し、耐熱性を有する酵素であった。 本酵素のN末端アミノ酸配列分析の結果(Gln-Thr-Val-Pro-X-Gly-Ile-Pro-Tyr-Ile-Tyr-Ser-Asp(Xは不明))から、既報告のケラチナーゼとは相同性が低く、アルカリプロテアーゼのALPIと高い相同性を有していたが。ALPIとは分子量、等電点、耐熱性が異なっていた。さらに新規性を確認するために、羽毛分解酵素遺伝子のクローニングを行った。本酵素遺伝子は374アミノ酸をコードする1125塩基により構成され、開始コドン4bp上流にはRBSサイトが、また32bpと56bp上流には-10、-35プロモーター領域が存在し、終始コドン13bp下流にはターミネーターが存在していた。本酵素遺伝子の推定アミノ酸配列から、ALPIと本酵素は96%の相同性を有するが、異なる新規酵素であることがわかった。
|