2005 Fiscal Year Annual Research Report
酵母キラー情報の感受性酵母細胞内への伝達機構の解析
Project/Area Number |
16580068
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
北本 宏子 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝資源研究グループ, 主任研究官 (10370652)
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Keywords | 酵母 / キラー蛋白質 / Kluyveromyces lactis |
Research Abstract |
酵母が他の酵母を殺すキラー作用は、真核生物が生産する抗菌性蛋白質のモデルになる。本課題では、キラータンパク質(Kluyveromyces lactis酵母Killer protein=KlKP)が出芽酵母の細胞表層に結合後、細胞内へ殺菌情報が伝わる機構を明らかにする。昨年度は、標的細胞のセラミド糖脂質を介してKlKPの3両体(αβγ)の毒素サブユニットγが、細胞内に侵入することを明らかにした。 今年度はまず、KlKPを、活性を保ったまま高純度で大量かつ簡便に精製する方法を開発し、各サブユニットに対する抗体を作成した。 次に、KlKPを処理した細胞を分画し、標的細胞におけるKlKPサブユニットの動向を、ウエスタン解析で調べた。その結果、毒素サブユニットγおよび、キチナーゼ活性を持つαサブユニットは、細胞の不溶性画分に存在した。しかし、βサブユニットは、細胞とその内部の画分に検出されなかった。以上のことから、KlKPは標的細胞のキチンにαサブユニットを介して結合後、βサブユニットは乖離し、α、γサブユニットが標的細胞内に侵入すると考えられる。侵入したKlKPは、膜を介して細胞内を輸送されると考えられる。 既に酵母非必須遺伝子破壊株セットから、KlKPに耐性を示す204株を分離していた。毒素サブユニットγの細胞内発現に感受性を示す株は、KlKP侵入過程の変異株であり、耐性を示す株は、最終標的遺伝子が破壊されていると考えた。細胞内γ発現を調べた結果、8株が多コピープラスミドからの発現に耐性を示した。ほとんどが、既に報告されていたRNAポリメラーゼIIエロンゲーター因子の破壊株であった。1つは、tRNA修飾を行うTRM9遺伝子破壊株であった。H17年11月に、KlKPがTRM9によって修飾される部位のtRNase活性を示すことが報告された。
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Research Products
(1 results)