2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳・神経に特異的なアクチン関連タンパク質による遺伝子発現制御機構
Project/Area Number |
16580070
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 昌彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (70218642)
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Keywords | アクチン関連タンパク質 / 神経細胞分化 / クロマチン / 遺伝子発現制御 / 脳 / 細胞核 |
Research Abstract |
アクチン関連タンパク質(actin-related protein;Arp)は、アクチンと同一祖先分子から進化した一群のタンパク質である。我々は、出芽酵母および脊椎動物において、細胞核に局在するArpを見出し、その解析を行っている。これらの核に局在するArpはクロマチンリモデリング複合体やヒストンアセチル化複合体などの構成因子であることも報告されている。我々は出芽酵母Arp4のヒトオルソログとして、hArpNα,hArpNβを見出した。このうち、hArpNβは調べられた全ての組織で発現が認められたのに対し、hArpNαは脳・神経に特異的に発現が認められたことから、本研究ではhArpNαの解析を行った。P19細胞はレチノイン酸を用いた処理により神経細胞への誘導が可能なEC細胞である。hArpNαを恒常的に発現するP19細胞を樹立し、その遺伝子発現や神経細胞分化の解析を行った。RT-PCRを用いた解析により、hArpNα発現P19細胞では、E-カドヘリンおよびN-カドヘリンの発現が亢進していることを示した。また、hArpNα発現P19細胞に細胞塊を形成させた後に細胞を分散させ、さらに培養を続けたところ、レチノイン酸処理を行わない細胞においても、神経細胞に似た形態をとる細胞が出現することが示された。これらの結果は、hArpNαがクロマチン構造を介した遺伝子発現制御により、神経細胞の分化に関与することを示唆している。また、hArpNαのターゲット遺伝子として、E-カドヘリン、N-カドヘリンが候補として得られたので、今後、これらの遺伝子の発現制御へのhArpNαの関与について、さらに解析を行う。
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