2006 Fiscal Year Annual Research Report
きのこからの炎症仰制作用を指標とした保健機能物質の開発
Project/Area Number |
16580085
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
廣田 満 信州大学, 農学部, 教授 (90199133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 綱嗣 信州大学, 農学部, 助教授 (60345759)
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Keywords | 炎症抑制 / きのこ / TPA / ケロウジ / シイタケ |
Research Abstract |
本研究はきのこから保健薬のモデル化合物あるいは機能性食品素材としてのきのこを見出すことを目的とする。 イボタケ科の担子菌類ケロウジ(Sarcodon scabrosus)から今までに炎症抑制物質としてsarcodonin類を明らかにしてきた。今研究では成分検索をさらに行ない,多くの関連化合物を得るとともに,sarcodoninを化学修飾して得られる誘導体の炎症抑制活性を調べ,構造と活性の関係を調べる。さらに広くきのこを集め,その炎症抑制成分について探索を行った。 sarcodonin Aの構造と炎症抑制作用について検討を行い,化合物の持つ脂溶性が活性の強さに大きく影響を与えることを見いだした。さらに,高極性化合物のsarcodonin Lを元に,メチル化,脱エステル化を行い炎症抑制活性を調べた。メチル化および脱エステル化を行うと活性が低下することを見いだした。 この結果を基にsarcodonin Aに蛍光性のクロモフォアーを導入し,蛍光を持つsarcodoninを合成した。合成した蛍光物質が強い炎症抑制活性を示したことからsarcodonin類の細胞内動態を調べるための化合物として有望であると考えた。 さらにシイタケから,活性物質の精製を試み,活性物質としてBenzoxepin骨格を有する化合物を単離した。この化合物の炎症抑制活性は200μgの塗布で51%であり,コントロールとして用いたグリチルレチン酸の活性と同程度であることを認めた。微量ではあるが食用とされるシイタケから炎症抑制物質が得られたことから,化合物の毒性が低いことが予想され,今後炎症抑制物質のモデルとなることが期待される。
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